数多ある働き漫画の中で、コロナ騒動に最も自然な形で対応しているのは『OL進化論』。今週はほぼコロナがらみの話で、それでもいつもの日常ムードもそのまま。連載30年を越えてこの進化はすごい。コロナは働き方を大きく変えたので、ストーリー系の働き漫画は軌道修正に苦労しそう。
島耕作シリーズを聖典と仰ぐZ世代の若者が島耕作の世界に転生し、島に会おうとするスピンオフ漫画『逢いたくて、島耕作』。もう面白いということでいいと思う。
島耕作サーガ初期の副読本として楽しめるし、なによりあの名悪役・今野輝常に対する慈悲深い視線がいい。
冬野梅子『まじめな会社員』、最終回まで読んだ。特に夢もなく地方から上京したカルチャー好きの若者が、契約社員として働きつつ何者にもなれないまま年を重ね、周囲に置いていかれ、何者かになろうとして現実を知る。まるで令和の山田太一ドラマ。こういう働き漫画を読みたかった。
【翔んだカップル1日1冊】2巻
優等生の杉村さんが勇介に同棲をもちかける。一方で勇介と圭は互いに気があるのに野獣になれず、ギクシャクしっぱなし。とうとう圭は勇介と同居する家を出ていく。
当時の柳沢きみおが描く女性は結構かわいくて、特に杉浦さんは眼鏡を取るとほんとに色っぽい。
ヤングジャンプに連載している本宮ひろ志の職業オムニバス漫画『グッドジョブ』。『ザ・ノンフィクション』みたいなドキュメンタリー的面白さがある。本宮ひろ志って今71歳なんだけど、キャリア末期によくこんな新しい佳作を生み出せるなと思う。和製クリント・イーストウッドは本宮ひろ志だ。
月刊柳沢きみお、10月号が発売されたので、ドストエフスキー『罪と罰』漫画化連載を読んだところ、衝撃の結末が……。『特命課長只野仁』も唐揚げを買いにいくだけの話を2ヶ月続けたし、本気で心配になってきた。
『相談役 島耕作』、島耕作の孫が島耕作の妻(大町久美子)に惚れる展開でやばい。黒目がハートマークになってる。
太平洋戦争を描いた漫画として今も記憶に強く残るのは森川久美の『南京路に花吹雪』とその続編『Shang-hai 1945』。国家に翻弄される個人を悲恋とダンディズムで彩り、国家を超えたなにかを信じようとする傑作。読み継がれる為にも電子書籍化すべき。
安堂ミキオ『はたらくすすむ』第2巻も素晴らしかった。定年退職し妻とも死別した男がピンサロに再就職。終身雇用サラリーマンの遅すぎる自分探しが嬢や客を巻き込んで巻き起こすエンパシーの連鎖。世界はクソでも自分が変わればひょっとしたら……と信じられそうになる希望の漫画。大好き。