即ち、コルベットやケッチは機動性で土鬼軍主力の浮砲台に勝り、ある程度の数さえあればこれを蹴散らしてバカガラスの為の制空権は取れそうなのです。しかも、エフタル同盟軍とトルメキアには根深い不信があり、エフタル諸族側がトルメキア航空軍を虚仮にしている様子も描かれています。
それ故クシャナ殿下はエフタル諸族のガンシップにバージを附けて身重にさせ、その最大の武器たる機動力を封じる始末です。結果、戦えるのがコルベット一隻という状況でアスベルの奇襲を受けてしまいます。しかも酸の湖ではトルメキア軍の命令を無視して各国はさっさと逃げ出しますし…
【補論①】実は作中でトルメキア航空軍が「爆撃」をする様子は殆どありません。僅かに三巻で蟲に襲われた村を第二軍のバムケッチが爆撃するのと、最終巻のシュワ攻防戦において、幕僚が上空からの墓所爆撃を「進言」する場面のみです。
これは次回考察予定の土鬼軍が、浮砲台による地上砲撃・爆撃を盛んに行うのとは非常に対照的です。このあたりにも、輸送艦隊としてのトルメキア航空軍の性格が現れているのかもしれませんね。