【補論②】ミラルパは兄ナムリスと異なり、複製人への肉体移植を頑なに拒み、無理な延命措置を目指しますが、これには幼少時のトラウマ以外に、今の自分に付随するカリスマ・超常の力が移植で喪われるかもしれないという怖れ、また手術失敗=死による帝国瓦解への怖れもあったかもしれません。
このことを、恐らく誰よりも熟知していたのが皇兄ナムリスでした。即ち、彼は今際の際の弟に、自らの帝国を自身で切り取ると宣言すると共にこう告げるのです。「この墓穴(墓所)とクソ坊主ども(僧会)はお前にくれてやる」、と。
【補論①】トルメキア王家は女系相続なのか?この点については中々確たる回答を出せませんが、少なくともクシャナ即位について、ヴ王も含め「女性であること」を問題視した様子はありません。が、その場合「なぜクシャナ母が即位しなかったのか」が問題となりそうです。
というのも、ここまでの旅路でナウシカは常に「正義の所在」を問い続ける存在でした。マニ僧正に、上人に、クシャナや神聖皇帝たち、更にはおのが虚無にまで「本当に他にもう道はないのか?」と。
即ち、王は墓所中心に着くや激昂して「教団」幹部を攻撃し、不死の業やヒドラを下らないとばかりに撥ね付けます。…が、もともとヴ王はこれら「旧世界由来の奇跡/悪魔の業」を求めて墓所へ来たのではなかったでしょうか?
あと、罷り間違って露がこの戦争で核を使うと、核兵器の価値ごと露の存在価値も暴落しかねないと思う次第。要は、「核の傘」「核不拡散」のお約束が瓦解し、核の少数独占があやしくなると。
コミケ原稿収録のため校正していてふと気になったこと。漫画版での #ナウシカ は何故、クシャナを「深く傷ついた、本当は心の広い優しい鳥」と評したのだろうか。思うに、ザパタまでの従軍同行で見聞きした彼女の弱さ/優しさにあったのではないか。 https://t.co/2v91ynkd2g
それは恐らく牧人(やケストたち他のヒドラ)が「心」を持ったゆえの問題でしょう。永遠に自分達だけで人類の遺産を保管し、見守り続けることには耐えがたく、分かち合う「仲間」が欲しい。「心」を持った故の「孤独」「倦怠」という病…それ故に「庭園」には、ヒトが出入りする「隙」が作られます。
それは「外界」との交易(と注がれる蔑み)無しには生きていけない蟲使い達にとっては眩いばかりに「高貴な」生き方であり、また厳し過ぎるが故に俗世の欲にまみれた自分達には到底真似できない、正に畏れ敬うべき存在でした。