そうした庭園/牧人の「優しさ」表現への拘りも連載版→単行本版では感じられます。例えば牧人に一環して敵意を向けるセルムすら、連載版での「もう次の付け入る隙を見つけた」といった、邪悪感満載の台詞は修正されています。
更に、ナウシカは若き頃のナムリス・ミラルパの父=初代神聖皇帝にもよく似ていたとされます。実際、その後7巻では、ナウシカは「彼」をなぞる様に庭園を抜け出し、お供を連れてシュワへ赴きます。
勿論、ミラルパ達はこの人工腐海(腐海の成立ちを考えれば「人工」は些か奇妙ですが)を制御する策を講じました。即ち、植物を不妊性に変え、また寿命を短くして枯れ易くすることで国土への害を最小化しようとしたのです。…それでも毒の除去に何年かかるか分からない辺り非情に場当たり的ですが…
また墓所も諦念を込めて語ります。「数百億の人間が生き残るためにどんなこともする、憎悪と絶望に満ちた時代。調停のため神まで作ってしまった」と。そんな墓所が胎内に後生大事に抱えていたのは、「もはや人間とは言えない」清浄な世界のための理想人間の卵でした。
一つ云えるのは、彼等には腐海外の「定住民」へのコンプレックスは強くあるという点です。何せ彼等は腐海の産品を腐海外で売り捌かない限り、酒にも旨い食べ物その他必需品ー更にはそれらの入手手段たるカネもーが手に入らないのです。
義時「太郎、お前の声は耳障りだ」
うーん、周りの話に耳を傾けなくなる辺りも政治家として老化した証しなんだろうな…
#鎌倉殿の13人
ユパ達に「投降」した後は、その投げ遣りな態度でケチャから余計な怒りを買います。てかケチャさん、ユパ様の手前もあるとはいえ、よく一言叱りつけるだけで堪えたな…
些か牽強付会ですが、今般のシリア・アサド政権の加速度的瓦解を見ていると、漫画版 #ナウシカ の最終盤を思い出しますね。あの場面ではヴ王直卒のトルメキア軍が土鬼聖都シュワを急襲・電撃占領したことで、長きにわたる泥沼の戦役が殆ど一瞬で終わってしまいます。
そうした巨大産業文明末期のえげつなさ、生命の価値の軽さが伺えるのが三巻でユパが語る「人間が欲するままに作り替えた」動植物の姿です。肉の塊にしか見えない鶏、実だけが異様に大きい植物は美味しそうを通り越してもはやグロテスクであり、人間用栄養装置としての機能だけが追求されています。