わたしの世代であの「色気のあるメーター」に憧れなかった人間はいないんじゃないか。松本零士先生、ありがとうございました。
それにしても生理の詳細ってどうしてここまで語られないんだろう。たとえばマンガであれば生理がプロットの根本に関わってくる作品って安永知澄『やさしいからだ』くらいしかパッと浮かばない。
アーサーのように孤独で、アーサーのように妄想力たくましく、アーサーのように職もなく、アーサーのように狂気にとりこまれてしまった人物として、いちばん近いのは山岸凉子『天人唐草』の主人公じゃないかと思う。それでもぜんぜん悪の道には進まないけど。
曽根富美子『断崖 母なるもの』、全員読んでね。昭和初期が舞台の話だけれども、あれは岡村隆史発言とも直結で繋がる現在の話よ。
谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。「他人の目線に立つ」とはどういうことか? 頭の中が昭和な男が結婚目前に彼女にフラれる。でも彼女の料理の味が忘れられず初めて台所に立つ。その時男は彼女の目線に立つ。物理的かつ心理的に。食事を作る苦労。その場所から自分がどう見えたか。(続
ルックバック、架空の出版社じゃなく集英社が登場するのめちゃくちゃ力強いメッセージだし、「自分は正しい場所から正しいメッセージを送っている」という藤本タツキの自信も感じられてすげぇすき。
いまいちばん辛いのはどんな人なんだろう? ド年度末に突如内定を消された学生なのか。セックスワークで稼げないシングルマザーなのか。仕事しながら小さい子供の面倒みなきゃいけないお父さんなのか。どちらにしろこっちの想像の外で泣いてる人がいるんじゃないかとザワっとするのがたまらなく嫌だ。
「男おいどん」っぽい主人公のまわりでメーテルっぽい美女がバンバン自殺していく『聖凡人伝』という怪作もございましてね。松本先生は短編の名手でもあったし、いろいろな作品に触れてみてほしいです。