人に愛されるために努力を続ける秀才タイプの白峰さん。
完璧以外の自分には価値がないと思い優等生を演じていますが実は感情の起伏が豊かな女の子。
でもそんな素の自分をさらけ出せるのが従姉妹の瑞希だけという、人付き合いにおいてちょっと不器用な面がある、真面目な努力家です。
高校に入ってから転校してきた黒沢さん。
授業中はいつも寝ているにも関わらず、それまで白峰さんが必死の思いで保持してきた学年1位の座を奪ったばかりか勉学以外もなんでもこなしてしまう天才タイプ。
けれど完璧過ぎるがゆえに人に敬遠されてしまう天才ゆえの悩みを抱えた(?)女の子。
『あの娘にキスと白百合を』
~各巻CP紹介②巻~
風紀委員 × 校則破りの常習犯
共犯関係から始まる先輩後輩百合
秋月伊澄は校則で禁止されている自転車通学の常習犯。
ある時それを先輩風紀委員の日下部千春に見つかるが千春は学校には報告していないようで?
という二人の共犯関係のお話。
千春が伊澄の自転車通学を学校に報告しない理由。それは千春が
「寮の同室の人とちょっと色々あって実家から通っている」
ことに関係があるようなのですが。
千春と寮の同室の星野真夜との関係も②巻の見所の一つなので詳しくはぜひコミックにてお確かめ下さい。
限られた時間を思って沸き上がる
「時間が止まればいいのに」
という真摯な願いは『マリア様がみてる3 いばらの森』の聖様の願いにも通じる、学生百合ならではの切なさが迸る名シーンです。
そんな千春と真夜の間の微妙な空気を察した伊澄が二人のために行動を起こすのですが。
口うるさい風紀委員の先輩に過ぎなかったはずの千春が、いつしか校則破りの常習犯・伊澄にとって特別な存在になっていたという展開がとても素敵な『あの娘にキスと白百合を②』。
幼い頃から一緒に過ごしてきた雪奈と十和子の関係性も③巻の見所の一つ。
自分の思ったことをやり通す王様気質の雪奈と、そんな彼女に導かれながらも同時に雪奈にとって心の拠りどころになっていた十和子。
園芸部が存続の危機を迎える中、二人のそんな関係がどうなるのかぜひ読んでみてください。
前回の百合文壇バーは『あの娘にキスと白百合を』特集でした。
個人的には登場人物の心境の変化が丁寧に描かれているのが作品の魅力の一つかと思っています。
高校生活という限られた時間の中で登場人物が成長していく。
それゆえにいつかは必ず終わるその時間がなおさらいとおしくなる、そんな作品。
④巻の瑞季と萌の、運動部の王子様と体の弱いマネジャーが互いを"半身"と言い表す構図は今野緒雪『マリア様がみてる2 黄薔薇革命』の令と由乃に通じる点があったり。
※半身と思い合いある意味で未分化な二人がどうやって自立した個人として互いを思い合うに至る過程はぜひお確かめを。
『あの娘にキスと白百合を』完結巻。
主人公の一人・白峰さんがこれまでシリーズに登場した人物たちに
「あなたに大切な人はいますか?」
と尋ねながら、もう一人の主人公・黒沢さんとの関係を考えていく構成。
様々な登場人物との関わりを通して二人の過ごした年月が感じられる素敵な完結巻でした。
時間を止められる能力を持った森谷さんと、森谷さんが止めた時間の中で唯一自由に動ける村上さん。
二人が誰も知らない秘密の時間を共有しながら仲を深めていく物語です。
周りと空気を合わせられずに一人でいる森谷さんと、合わせすぎて本当の友達がいない村上さんの恋の顛末をぜひご一読下さい。