毒田ペパ子先生『さよならローズガーデン』2巻。
1900年のロンドンを舞台に海を渡ってやってきた日本人メイド華子とイギリス人令嬢アリスの関係を描く百合作品。
華子の瞳の色はヘリオライトで、アリスの瞳の色はサファイアで、といった具合に美しいシンメトリーが散りばめられている二人ですが、
2巻はそんな二人が共通していだく"孤独"、"孤独"を理解し合うから生まれる親愛の情、そして"秘密"について掘り下げられていました。
特別な相手に対して秘密を抱える二人の切ない胸の内に胸を打たれます。
百合好きな方はもちろんヴィクトリア朝英国文学好きな方にもオススメなのでぜひご一読を。
老婦人・貴代子が人生を振り返る回想の物語。須藤佑実先生『夢の端々』。
学校を卒業し貴代子とミツの物語もいよいよ社会人百合パートへ。
「結婚するの?」
「しない。一生しない。だからあなたもしないで」
「うん」
のやり取りがとても素敵でした。
原百合子先生『繭、纏う。』最新話。
星宮を卒業してから大好きだったの人の名前を忘れて宛名のない手紙を書く少女の話。
そんな彼女にかけられる
「髪の毛はまた伸ばさないの?」
「誰かとの繋がりが欲しいならもう一度つくってもいいんだよ」
の言葉に星宮と髪の関係が思われて鳥肌がたちました。
灯先生『still sick』2巻。
メーカーの開発部でリーダーを任される清水さんと、総務部で働く会社のマドンナ前川さんの社会人百合。
過去を乗り越え変わりたいと思わせてくれる大切な存在と出会い、今の距離感が変わってほしくないと願いつつ、より多くを求めてしまう心の揺らぎが素晴らしく素敵でした
郷本先生『被写体依存』(『シロップ secret-禁断×百合アンソロジー』収録)。
女優を引退し家庭に入った人妻と、彼女が夫と出会う前からその写真を撮り続けるカメラマンとの人妻不倫百合。
不誠実なことを自覚しながら関係を続ける二人の飄々としたやり取りの中にある強い執着が素敵です。
いけだたかし先生『Slit』(『シロップ secret-禁断×百合アンソロジー』収録)。
バスケ部のエースで生徒会長で王子様な先輩と、遠い場所から誰にも知られずその様子を見つめる私の交差を描いた学生百合。
ラスト2ページの展開が素敵。
優しさに満ちた結末に『ささめきこと』を思い出しました。
エドワード朝期の主人とメイドを描いた森薫先生『シャーリー』にも時を超える思いが描かれておりますが、そういう百合がお好きな方にオススメです。