これ改めて眺めると、ヒットラーの手先にかけてのデフォルメ凄いのな。試しに自分で描いてみなよ。写真の模写か安っぽい揶揄にしかならないから。もうこんな風に「マンガ」描ける人いなくなっちゃったよな。劇画と格闘し続けた手塚だけがここまで行って、後には誰も残ってないと思う。
「あえて己から遠ざかる」というのは表現上の劇薬で痛々しくも見える。けど手塚治虫の劇画的技法への挑戦は、結果的にとてつもない新境地をもたらしたし、楳図かずおのスタンダードとして知られる恐怖画も、実はその類ではなかったかと思っている。
楳図かずお、死ぬほど絵が上手いのな。恐怖で売り出す前のシンプルな漫画絵だともう唖然とするほど上手いのな。んで、恐ろしく繊細で自己評価の低い方でもあるんだろうなあ…と伝え聞くエピソードから思うのだった。