この漫画を「日本の漫画映像表現のひとつの頂点」とする声もあり、大雪の中、会場は多くの観覧者が。惜しげもなく伝説の原画が並んでいます。To-y原画を展示した前回の『LIVE』展もあまりにノーガードで「もし何かあったら重要文化財が」とファンは冷や冷やでしたが、今回もビニールカバーのみ
『To-y』もそうだけど、単なる写実主義ではなく、流れるような線でデッサンされたリアリズムの中に、少女漫画のような叙情があり、少年漫画の躍動がある。生原稿というのはある意味で漫画家の企業秘密の塊で、日本漫画の金字塔的映像作品の作画プロセスに触れることができる貴重な機会だと思います
今日はラピュタのドーラの若い頃が話題だけど、本日発売のこざき亜衣『セシルの女王』第7巻!主人公エリザベス1世の顔を、乳児から少女時代に至るまでの成長と変化を、こんなに丁寧に描き続けてる作品はないんじゃないかと思う。本当にページごとにベスの顔が大人になり、複雑な表情を見せるようになる
『セシルの女王』第9巻。愛が政治の中に組み込まる王室の中で、エリザベスと忠臣セシルの「愛ではない何か」を生涯かけて描こうとしているところがすごい作品だと思う。読者もどんどん増えてるけど、もっと多くの、世界中の読者に知られる価値のある物語。死後の人物が物語を読む巻末裁判バーも面白い
ただ、展覧会をきっかけに『To-y』『SEX』の上條作品を読み返すと感じるのは、ビジュアルの衝撃を中心に語られることの多かったそれらの作品の『物語』が今読むとまったく色あせていないということで、『SEX』というのは実は沖縄や福生という基地の街の少年少女をめぐる物語だったりする。
『ちはやふる』では競技百人一首の発展に向けたクラウドファンディングなどがしばしば作品と並行して開催されるけど、それはこうした作品の中で提示される未来への改革への提言と表裏、車の両輪のように呼応しているものなんですね。社会の中にスポーツがあり、社会の中に作品がある。お薦めの作品です
それは最新刊に至るまで、例えば旧クイーンの猪熊遥という母親のセカンドキャリアを描くという形で継続するんだけど、競技百人一首の知名度に大きく貢献したこの作品は、一方で競技の変化や『未来への改革の提言』も作品の中に含んでいる。クイーン戦が2019年から5回戦になったことも物語と呼応する。