迅と滅の「心」や或人の中にもあった「悪意」の描かれ方を見ていて、萬画版ロボット刑事の終盤に描かれるKの心に通じるものが感じられてしまうのです。
萬画版のKは同僚の刑事や守るべき人間たちからもその機械の身所以に恐れられ、疎まれ罵倒され続けます(最初は好意的に接してくれた者もKの繊細な心に恐れを抱き態度を豹変させる事も)。それでもKは人間の心に憧れ続け、人の心を理解し近づこうと努力し続けます。
玲子がまだ幼かった弟・竜治に両親が受けた真実を教え育てた事と、彼の為についた嘘(玲子の顔には大きな火傷があり、それは物心つかぬ頃の竜治のいたずらの結果でしたが、その罪に悩まないようにと軍の拷問によるものと伝えていた)から竜治は人と世を憎みバドーとして暗躍する事になります。
悪の道に走った弟の行動を止める為に両親が残した設計図からKを作り出します(竜治が殆ど持っていき、玲子の元にはKのタイプしか残ってなかった)。そのKには電子頭脳のかわりに母親の脳細胞から増殖再生した本物と変わらぬ「人造脳」が使われていたのです。
その事実を明かされたKは激しくショックを受けます。自分を作ってくれた母と慕う玲子はKに、玲子にとっての弟であり、玲子と竜治の母の脳を持つKにとっては「息子」でもある竜治を捕まえさせようとしていたのです。
様々な人間の良い部分も悪い部分もその身をもって理解したKは、人間の様な生き方(所以に機械の様な戦い方を拒んでいた)を止め、機械として、機会の誇りをもって機械らしく生きる事を決意します。それは憧れ続けた人間の「感情」と戦い、「精神(こころ)」がある故に生み出される「悪」と戦う為に。
特撮版ではパワーアップした姿として描かれる「ブローアップ」した姿=頭部のあちこちから銃身が飛び出すなどのギミックが追加された姿を、萬画版ではこの様な哀しい決意の末に選んだ姿(人の様にではなく、機械としての機能を最大限活かすべく異形の姿も厭わない)として描かれています。
例えばダイノボット部隊が変形時に"Dinobots--Traumatize!" と新たなコードを使ってる件とか。後付設定とかはシリーズが長期化すれば避けられない要素ではありますが、バディアンスキー時代の独自性も自分色に塗り替えたがってる様に見えて、ちょっと辛い。ファーマン氏の作品も好きなんですけどね…。
TFの初期の設定・文芸を担当したのはマーベルコミックのボブ・バディアンスキー氏のチームでムービーキャラも彼らによって考案された様子ですが、その段階ではクインテッサンがサイバートロニアンの創造主とは考えられていませんでした。
画像は"TRANSFORMERS UNIVERSE”4号掲載のクインテッサンの項。
「トランスフォーマージェネレーションズ2014 vol.1」で市川裕文先生によって描かれた「コントロバース」ではユニクロンの創造主と自称する科学者プリマクロンがクインテッサの裁判にかけられる話ですが、ここで彼はクインテッサも彼が創造した「バクテリアを模した連作」である可能性を示唆します。