その後の桜は作者による同人誌や、小野敏洋から上連雀三平名義で対象年齢がちょっぴり上がった漫画などで大活躍する事になる。
そしてコロコロアニキで『バーコードファイター』は四半世紀ぶりの復活を果たし、世界中のファンは色々な意味で涙した。
"男の娘"文化の根付きが浅い時代にコロコロのヒロインが男という事実は、当時の小学生男子にトラウマと歪んだ性癖を植え付けたと云われているが定かではない。
急遽打ち切りとなり今までのシリアスな伏線を放り投げて、桜のトランスジェンダー要素の掘り下げに尺を全て費やしたのは英断だった。
1991年に月刊コロコロコミックで連載を開始した『バーコードファイター』のヒロイン・有栖川桜は、登場した当初は女の子として扱われていたが話もソコソコ中盤になって、実は男の子である事が発覚し読者の度肝を抜いたパターンだ。
キャサリンとして仲良くなれても、男としてはなかなか近付けない事に悩む岡間だったが、次第にキャサリンは偶像化していき時には恋敵、そして真なる想い人="自己愛"を象徴する存在となっていく
『のぞき屋』や『殺し屋1』で才覚を現した山本英夫の作風だが、この時点でマイノリティの業を描いていた
『ストップ!!ひばりくん!!』よりも遥かにお下劣な下ネタギャグ漫画としてスタートした『おカマ白書』だが、そのテーマ性はなかなか重厚だ。
女装した自分の姿に一目惚れしてしまった主人公・岡間はキャサリンの源氏名でゲイバーで働き、そこで自身の女装姿とソックリなヒロイン・ミキに好意を抱く。
江口寿史の画力、そしてひばりくんの挑発的かつ小悪魔の様なキャラクター造型からなる魅力が遺した爪痕は深い。
自分もひばりくんが実際に、この世に存在しない事実の悲しさに身悶えする程だ。
同じ80年代にも、江口寿史の作風やスタイルに影響を受けた後続作品が幾つか登場する。
『ストップ!!ひばりくん!』は男性だけではなく、女性人気も獲得した作品である。
その理由は有りのままに振る舞う、ひばりくんの生き様にあり、その在り方は正に"強い女性像"の体現だ。
江口寿史の高い画力からなるデフォルメが与えた影響も大きく、萌絵=美少女イラストの先駆的表現とも云われる。
設定では男の子なひばりくんだが、少年らしい描写は無く中身は殆ど女の子だ。
男でありながら女の子の魅力を持つ、謂わば"男の娘"キャラの始祖である。
この今までに無かった設定の背徳感が持ち味となり『ストップ!!ひばりくん!』は少年愛ジャンルの中で、初の男性読者向けの方向性を築く事になる。
1981年に週刊少年ジャンプで連載開始した『ストップ!!ひばりくん!』は、先進的なジェンダー要素を扱ったギャグ漫画として登場した。
女装をした男の子が、主人公兼メインヒロインとして少年誌で活躍する。
これは前代未聞かつ画期的な試みであり、あらゆる意味で問題作、そして重要な起点ともなった。
山岸涼子と同じくビアズリーの"線"に影響を受けた漫画家に魔夜峰央がいる
代表作『パタリロ!』は少年愛の耽美な世界観をコミカルでギャグタッチなものに変え、受け入れやすい需要の幅を広げた重要な位置にある作品だ。
美少年キラーことバンコランとその愛人マライヒは、お馴染みの人気カップルである