赤〇で囲んだ肩の部分の皺はわりと誰でも描きます。藤子F先生がよく描いてたヤツですね。
ところがこの青い線の部分は、服の中の腕の形を意識して出っ張りの位置と服の皺の発生原則を知らないと引かないヤツです。
「あなた弱虫よ!!先生にしかられたくらいで……。」
ここで泣き出す。しかし、涙を浮かべつつも身振り手振りと「……。」から、叱咤が続いたことがわかる。
「泣きながら叱り続けた」のである。
ここでは「泣く」のは本分ではない。「叱る」ことだ。
では、なぜここで「しずかが泣く」のか?
しずかは嫌悪感に耐えながらのび太の元に辿り着き介抱する。そして心底ほっとし、のび太の軽口で我に帰り、怒り出す。
「あたりまえでしょ!!お友だちだもの!!」
のび太の珍しい表情にも注目したい。
それは「しずかだけがのび太の異変に気付き、見捨てなかった」ということを強調するためである。
話の発端部に「のび太の将来の嫁」ということが挿入されているのもポイントだ。
原作では「のび太を叱るところ」で涙している。一方SBMでは言い終わった後に「のび太さんのバカ…バカ…!」と言って泣き出してしまう。
「しずちゃんさようなら」は、そんなしずかのエピソードのなかでも屈指の名回である。他にもしずかの懐の深さを描くエピソードはあるが、この回で更にしずかの造型が深みを増したと言ってもいい。
改めて見ると上映時間100分未満(97分)のテンポの良さも素晴らしい。この辺りも若おかみとダブる
ポンポさんもこれには満足だろう。若おかみは絶賛してたようだけど、肉子ちゃんはまだ見てないのかな。
つまりこの回では、のび太の異変に気付かない周囲や、ドラえもんや親でさえ見捨てるという描写と対比し、「のび太としずかだけの特別な繋がり」が描かれているのである。
大きな画像の段階で「アレ?服が違うゾ」と気づいた方は鋭い。右は第一話のカットを流用した桜井邦彦さんの回の絵です。
目をよぉ~~く見ると桜井さんの絵だなとわかります。わからない方は四六時中桜井さんの回の絵と睨めっこしましょう。
ダークナイトも「人によっては超絶大傑作だけど人によっては何が面白いのかわからない作品」として結構挙げられますね。