時に皆さん、「恐怖コミックス」時代は何を推しますか。「ミイラ」「サボテン」「人面瘡」辺りが人気ですが、私は『灰色の館』を推したい。人里離れた洋館に住む謎の美女、監禁されたフリークス、生きる死人の火葬、近親相姦、DVと、GOD手塚のこだわりが詰まっています。
と言うわけで私が選んだ「好きなブラック・ジャックのオチ10選」でした。君の好きなオチはあったかな?最後に惜しくもベスト10に入らなかったオチを4つ披露だ!
第十位「落とし物」。ゲストのお父さんは、ちょっとドジが過ぎると思うのですが(笑)「先生はどんな時に手術代を安くするのか」の目安になる一作。自分がどうなっても家族を治す、と言う覚悟のある人に、彼は共鳴するんだよね。あと手術代をまけるお話特有の「先生の白々しいお芝居」が堪能できます。
第九位「灰とダイヤモンド」。「無免許医ブラック・ジャックを軽蔑していたエリート医師と、最後に共闘、もしくは和解する」と言う、傑作が多いパターンの一本。ちょっと「先生が何故、大金を集めるのか」のバックグラウンドに触れているのもいい。この話は、ラストのコマと、そこに書かれた台詞も秀逸
第八位「ディンゴ」。ブラック・ジャックが、自分の腹を切って手術する事で有名ですが、環境汚染と外来種問題、つまり人類が、自ら招いた災厄で痛い目を見る話。ラストで強烈な皮肉の台詞が。私、小学生の時に読んで感動して、この話で読者感想文を書きました(笑)
第七位「すりかえ」。いわゆる「取り替え子」を巡るミステリー。正反対の両者の意見が対立し、「どちらかが大ウソつきって事ね」からの、急転直下のオチが見事。その前の、お約束の「手術代100円」も効いている。お父さんを長期出張に出して話に絡めず、あえて母子に視点を絞ったのも上手い。
第六位「U-18は知っていた」。俺、『ブラック・ジャック』は幼少期、この話を最初に読んだんだよね。コンピューターを手術するトンデモ話みたいに言われる事もあるが、U-18が先生への感謝を画像生成で表現する、今のAI時代を先取りしたオチほか、今、読んでも全然、変ではない未来予想が凄い。
第四位「命の絆」。これはちょっと、先生のやってる事がボーダーラインなんだけど、このコマの後、一言でオチがつくのが効いている。よく出来た落語の様。この少し前で、伏線を張っているのも見事。前半も、二つの病院を行ったり来たりして手術する超人ぶりを披露。しかしこの後、モメそうで怖い(笑)