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「『私も今度檻へ入ったら、例え許されたとしても出はしませぬ。というのも、私もこの頃は本所で男伊達のようになってきて、世間も広く、私を知らぬ者は馬鹿にされるほどになりました。それがこうなってはもはや世の中に顔を出すこともできませぬから、断食をして一日も早く死にます』」
勝小吉36歳。実家の男谷家に呼び出されて行ってみると、自分を入れる檻が出来ていた。「改心しろ」と説得する親類の皆さんと、「改心するくらいなら檻へ入る」と言い張る小吉との攻防です。
マンガ『夢酔独言』九十九話(1/4)
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「『今度庭へ檻をこしらえて、お前を入れると言いなさるのよ。いろいろ精一郎や皆止めたけれど、少しも耳を貸してくれない。檻も昨日出来上がったから、晩に呼びに行って押し込めると相談が決まったの。庭へ出て見てみなされ』」
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「男谷へ行ったら、兄嫁をはじめ皆が泣いていた。精一郎の部屋へ行ったら、兄嫁が言った。
『左衛門太郎(小吉の本名)殿、どうしてそんな無茶ばかりしなさる。お兄様がこの間から、お前の世間でのようすを残らず聞き取っていなさったが、放ってはおけぬと心配して、』」
勝小吉36歳、夏。実家の男谷家に呼び出されて行ってみると、自分を入れる檻が出来上がったから見てみろと言われます。
マンガ『夢酔独言』九十八話(1/4)
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「それからいろいろ工夫をして、ひと月も経たないうちに、檻の柱を二本抜けるようにしておいた。しかしよく考えてみたら、みんなおれが悪いから起きたことだ、と気が付いたから、檻の中で手習いを始めた。
それから、軍書の類いも毎日見た。訪ねてきた友達から、世間のことを聞いていた。」
勝小吉、21歳。二度目の家出からもどって父親から説教を受け帰宅すると、妻の妊娠を告げられ、同時に座敷牢へ入るよう言われます。
『夢酔独言』五十三話(1/4)
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「親父が言うには、
『お主は度々悪さをするから、まずしばらく逼塞をして、己の身の振り方を考えなさい。すぐに答えが出せるものでないから、一、二年考えて決めるがいい。とかく、男は学問をしなくてはならぬから、よく本でも見ることだ』
ということだった。」