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「『海道筋三島宿では、水戸の播磨守の家来を泊めぬか。おれは御用の儀があって、遠州天宮へ御祈願の使いに行くのだが、仕方がない。今から引き返して、道中奉行に屋敷から相談するとしよう。それまで、御用の物は問屋へ預けるから、大切にしろ』
と言って、おれは稽古道具を投げ込んだ。」
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「『この宿場では、韮山様の御触れで、一人旅は泊められませぬ』
と言われた。
そこで問屋場へ寄って、役人を起こして宿の世話を頼んだら、
『問屋が公儀の御触れを破るわけにいきませぬ。指図もできませぬ』
と突っぱねられた。」
文政五年(西暦1822)、勝小吉21歳。
二度目の家出をして東海道を進みますが、三島宿で一人旅は泊められないと言われ…。
マンガ『夢酔独言』四十八話(1/4)
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変わり市松:海松(みる)と色紙。
明治~大正時代頃の、地白の型染木綿です。
四角の中に七宝が描かれた市松模様の、変形と思われます。
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「関所を越して休んでいたら、後から商人が来た。
『今、私が関所を通りましたが、関所でお前様の噂をしておりました。さっき通った侍は飛脚でも箱根の者でもなし、何だろうと』
と言うから、おれは、
『分からぬはずだわ。おれは殿様だから』
と言ってやった。」
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「『通行手形を見せなされ』
と言われたから、おれはこう答えた。
『ご覧の通り、江戸を歩く服装のままだから、手形の用意もありませぬ。稽古先でふと思い付いて、上方へ修行に向かう途中です。雪駄も履いたまま、旅支度もせずに来たのです。どうぞお通しくだされますよう』」
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「藤沢に泊まって、朝七つに出立した。小田原へ行って、一度目の家出の時に世話になった喜平次の家を訪ねた。喜平も物乞いが侍に化けて来たものだから、初めは怪しんでいたが、喜平の家を出た亀だと言ったら、ようやく思い出したようで、いろいろ酒なぞ振る舞ってくれた。」
文政五年(西暦1822)、勝小吉21歳。借金を重ねて無一文になり、再び江戸から行方をくらまします。
箱根関所に差しかかる小吉ですが、通行手形を持ってない。どうする…?
マンガ『夢酔独言』四十七話(1/4)
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マンガ『夢酔独言』四十六話(1/4)
勝小吉21歳頃、妻・信とのお話。※1コマ目以外全編フィクションです。
「馬鹿ばかりしていたら、懐事情が悪くなってきて、借金が増えるばかり。仕方がないから、無茶な借金を重ねていたが、二十一の年には、一文もなくなった。」
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