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「『今度のことは、一同が私欲ばかりに走り、地頭を軽んじた故のことだ。おれは隠者だから、世の中へ望みはない。どうなろうと大勢が助かって、丈助も夢酔が死んだと聞けば、この一件も手軽に済むだろうと思ったのさ。だが一同とも金談を請けるなら、身命に替えても調達すると一筆書け』」
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※このへんはフィクション演出です。
夢酔は切腹芝居にあたり、江戸から首桶を持参した他、当日現地で白装束と白椿を演出のために調達しています。
勝夢酔(小吉)38歳。1ヶ月におよぶ交渉の末、ついに江戸の地主に用立てる金を受け取った夢酔。ところがその晩、地主に150両もの借金があることが発覚します。
マンガ『夢酔独言』百二十一話(1/4)
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「それから、村方のこれまであれこれと敵対した者へそれぞれ咎を言いつけ、水呑百姓の身分に落として、江雪斎の頃からの古百姓には役儀を言いつけ、今回金を出した者には皆、名字を名乗ることを許した。代官には、一年に九斗ばかり収穫が見込める荒地と屋敷を遣わした。」
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「その晩、皆で打ち解けて話をしていると、村方の宇市、源右衛門という二人が願書を出してきた。見ると、孫一郎が証文を書いた借金が百五十両、この暮返す約束になっていた。
代官に言いつけて、
『返済を一年延ばせ』
と、次の間へ呼んだ二人に伝えた。」
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「『其の方二人はこれまで特別おれに刃向かったのを、格別の勘弁をしてやるというのに、不届きなやつだ』
と脅かしてやったら、二人は大いに怖がった。
『この証文は、夢酔がもらっておく』
と座敷へ入ったら、二人は早々に帰って行った。
百五十両は、この一言で踏み倒してしまった。」
勝夢酔(小吉)38歳。摂州の知行村との交渉の末、目的の金子を受け取った夢酔。1ヶ月の旅の末、江戸へ帰ります。
マンガ『夢酔独言』百二十二話(1/4)
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「京都へ行き、三条の橋の脇に三日滞在して、本格的に休息をした。東海道を下り、大磯に泊まった晩に、髪を切って撫でつけになった。それから川崎に泊まって、家に案内を出したから、大勢が迎えに来て、十二月九日に江戸へ帰った。」
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(3/4)それから受け取った金子を持って、孫一郎を訪ねたら、皆が出迎えて、おれを神様のように言った。
中一日置いて丈助を呼び出して、立替金三百三十両余残らず渡して、親類の書付まてま取って、孫一郎に渡した。
その翌日ら家の祖母が死んだから、いろいろ仏事にかかりきりになった。」
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「丈助一件の礼に孫一郎から、
『丈助への返金の残りは使ってくだされ』
と言われたが、それでは暮の孫一郎の生活費もままならないから、一文ももらわなかった。岡野で相談して、木綿の反物を一反くれた。
世間ではおれに百両ももらえばいいと言ったが、おれはそうしなかった。」
勝夢酔(小吉)37歳。することがないのでブラブラしていたら、島田虎之助に香取・鹿取神宮参詣を勧められ、下総旅行へ出掛けます。
マンガ『夢酔独言』百二十三話(1/4)
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「それからすることがないから、毎日浅草寺やら吉原なんかの遊び所で居た。
虎(島田虎之助)が香取鹿島参詣をしろと勧めるから、四月初めに、松平内記の家中で松浦勘次というのを供に連れて、下総からあちこちを歩いた。」
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