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「その翌日、また大坂から、町奉行の使いが手紙と肴を持って来た。
その晩それを煮直して、代官や庄屋を呼び寄せて振舞った。町奉行の手紙も読んで聞かせた。一同が恐れ入ったようだから、金子について聞いてみたら、
『今、いろいろ手を回していますができませぬ』
と言う。」
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「翌朝、代官の新右衛門を呼んだ。
『今日は少しばかり、おれにいいことがあるから、七つ過ぎから、村方一同に酒を振舞ってやりたい。金は渡すから尼崎で新鮮な魚を買って、吸物その他、良いものを用意してくれろ』
と言って、その日の献立を書いたのを渡した。」
勝夢酔(小吉)38歳。摂州の知行村で、村方役人を集めた宴会を催した夢酔。一同に酔いが回ったところで、夢酔は切腹すると言い出します。
マンガ『夢酔独言』百十八話(1/4)
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「中間が、言いつけ通りに水を手桶に三杯、汲んできた。おれはそれを浴びて、白無垢の上に時服を着た。座敷の真ん中に布団を重ねて敷き、燭台を二つ、左右に並べる。おれは布団の上に座り、
『新右衛門はじめ村方役人どもに申し渡すことがある。一同、座敷へ出るように』」
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「『この度、其の方どもの地頭の余儀なき頼み故に、おれも病身をおして上坂し、其の方へどうか頼むと言ったのだ。それを見くびって取り合わず、此の方に向かって竹槍三昧、どういうつもりでそうしたのか聞こうか。答えによっては大坂町奉行へ話し、明日究明するから、説明してみせろ』」
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「『どうしても金談がうまくいかないから、夢酔の志は無駄になってしまった。何事も成せぬまま江戸へは帰れぬから、今晩腹を切っ、て江戸に申し訳は立てよう。代官や村役人どもは相談して誰が付き添って、夢酔の亡骸を江戸に居る息子に渡してくれろ。』」
勝夢酔(小吉)38歳。『夢酔独言』をまだ書いてないのに、夢酔が切腹します。
マンガ『夢酔独言』百十九話(1/4)
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「『もはや他に言うことはない。時服は村役人の家に預けるから、汚れぬようにしろ』
と言って、脱いで広蓋に載せて、喜三郎にはおれの刀を渡した。
『これで介錯しろ』
前もって江戸で作らせて持ってきた、首桶を出させた。一同へ向かって、
『頼んだこと、よくよく心得ろ』」
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「『一同許すから、顔を上げて、夢酔の切腹をよくよく見ておけ』
と言って、脇差を握った。
村役人どもが、
『恐れながら、御免御免』
と、布団のそばへ這い寄る。
『早く首を打て』
と喜三郎に言ったが、平伏したままだ。
『己には頼まぬ』
と言うと、仕方なく立って背後に回った。」
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勝夢酔(小吉)38歳。摂州の村で交渉を続けていた夢酔ですが、決裂したので切腹すると宣言します。
マンガ『夢酔独言』百二十話(1/4)
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「三、四人が喜三郎にすがりついて、
『少しの間、お待ちくださいませ。一同が一言、申し上げることがあります』
と言った。喜三郎が、
『早く言え』
と言ったら、
『先ほど仰せの儀には、恐れ入りました。我々の家財を売ってでも、金子は用意いたします』
と言いおる。」
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