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「…懐から二百両の金を出していふには、
『これは僅かだが、書物でも買つてくれ』
といつた。
あまりの事に、おれは返辞もしないで見て居たら、渋田は、
『いやそんなに御遠慮なさるな、こればかりの金はあなたに差し上げなくとも、ぢきにわけもなく消費つてしまうのだから…』」
#勝海舟
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「この罫紙も実はその時に渋田がくれたので、
『面白い蘭書があつたら翻訳してこの紙へ書かせて下され、筆耕料などは今の二百両の内から払つて下され』
と頼んだのだけれど、実際はおれが貧乏で紙にも乏しかろうと思つて、それでくれたのだ。」
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※「ヅフ・ハルマ」は漫画では永井青崖先生から借りたことになっていますが、『氷川清話』の様々な「ヅフ・ハルマ」エピソードでは、医師とか何とかとゆう人から借りたとかになっています。
勝麟太郎(後の海舟)25歳頃。貧乏で正月に餅をつくこともできない麟太郎は、本所の親類の家へ、餅をもらいに行きますが…。
マンガ『夢酔独言』百四十三話(1/4)
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「おれが子供の時には、非常に貧乏で、或る年の暮などには、どこにも松飾りの用意などして居るのに、おれの家では、餅を搗く銭がなかつた。ところが本所の親属の許から、餅をやるから取りに来い、と言つてよこしたので、おれはそれを貰ひに行つて、…」
#勝海舟
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「ところがその時は、もはや日は暮れて居るのに、今のやうな街燈はなし、道は真闇がりで、それを拾はうにも拾ふことが出来なかつた。もつとも二ツ三ツは拾つたが、あまり忌々しかつたものだから、これも橋の上から川の中へ投げ込んで、帰つて来たことがあつたつけ。」
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※フィクション演出です。出番がないけども主人公なので出てくる夢酔(勝小吉)。
勝麟太郎25歳頃。蘭日辞書「ヅフ・ハルマ」の写本をし終えます。一方、父・夢酔(勝小吉)は…。
マンガ『夢酔独言』百四十四話(1/4)
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※フィクション演出です。
嘉永元年(西暦1848)、麟太郎は「ヅフ・ハルマ」を二部写本し終え、一部は売って、一部は教本にして蘭語塾を開きます。
佐久間象山を訪ねた麟太郎(後の勝海舟)は、「海舟書屋」の書を見ます。そして麟太郎の父・夢酔(勝小吉)は、嘉永三年(西暦1850)九月四日を迎えます。
マンガ『夢酔独言』百四十五話(1/4)
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