(2/4)
「仕方なく精一郎に会ったら、
『お前の迎えに他の者を行かせたら、切り散らされてお前は帰って来ないだろうと、相談のうえで私が来た。ぜひとも江戸へ一度帰って、そのうえで好きにしなされ』
とかいろいろ言うし、斎宮もあれこれ意見を言うから、精一郎と一緒に江戸へ帰ることにした。」
(2/4)
「『この宿場では、韮山様の御触れで、一人旅は泊められませぬ』
と言われた。
そこで問屋場へ寄って、役人を起こして宿の世話を頼んだら、
『問屋が公儀の御触れを破るわけにいきませぬ。指図もできませぬ』
と突っぱねられた。」
(3/4)
井上伝兵衛先生の弟子・根津新之助さんと鈴木新次郎さんと一緒に、平山行蔵先生を訪ねた際のお話です。
(4/4)
「思い返せば、これまで女房に助けられたことも度々あった。
それからは少しは優しくしてやるようにしたが、それまで一日だって、おれに叩かれない日はなかった。
最近、急に体が弱くなったのもそのせいかもしれぬから、ご隠居様のようにしておくわ。」
(2/4)
「おれの女房が、
『その女をもらってあげましょう』
と言い出した。それじゃあと頼んだら、今度は、
『私と離縁してくだされ』
と言う。
訳を聞いたら、
『女の家へ私が行って、ぜひとももらいますが、先方も武士です。返事が悪ければ、私の命に変えてでも、もらいますから』
と言う。」
(2/4)
「利平爺も長く男谷に勤めて、兄の代には信州までも供して行きおった。
兄貴が使った侍は、皆中間から取り立てた者達だった。信州五年詰めの後、そやつらに残らず御家人株を買ってやったが、利平次は隠居して、株の金を持って身寄りの所へ行ったが、金をみなそやつに取られてしまった。」
(3/4)
「『海道筋三嶋宿では、水戸の播磨守(府中藩主か)の家来は泊めぬというのか。手前は御用の儀があって遠州天宮へ御祈願の使いに行くのだが、仕方がない。今から引き返して、道中奉行に訴えるとしよう。それまで、御用物は問屋へ預けておくから大切にしろ』」
些細なくだりなんですが、小吉が語るパパさんと実際の回想では発言内容が違っていて、小吉が捏造してることを表しています。