キャラの退場など演出としてアツイ展開は続くんだけど、リオウ、ザルチム、アリシエとリーヤあたりのキャラに入り込めないうちにそれら同士の展開がぶつかってきちゃうので、なかなか厳しい。物理的にもドラマ的にもキャラが散りすぎた気がしちゃうな……この図の時点でかなり複雑だったし……
この辺はヤンキー漫画の終わりみたいでよかった。ただ、やっぱり一つのドラマで描けるのは三項対立くらい(それもかなり大変だが)までで、それ以上はとっ散らかっちゃうなぁ、という感じ。週刊連載で一話ごとにじっくり毎週何度も読んでれば違ったのかもしれないけども。
『嘘喰い』の梶くんや夜行さんと貘さんみたいな関係をうまく銀行にスライドさせてるけど銀行員設定でここからどうしていくんだろ?とは思ってたら「銀行員はキャリアが命だから……キャリアを通貨代わりに賭けて戦え!」って言い出して爆笑した。天才の発想。
デスゲームの罰を受けたらどうなるかの実演に3分間クッキングみたいな手法を使うのとかもそうなんだけど、作劇の効率化テクニックがシリアスギャグ的な側面を持っちゃってて笑ってしまう。どれくらい意図してるのかわからないけど愛嬌がある。
銀行内での派閥争いを起こして、次章以降の戦いを大きくするためのセットアップにひたすら奔走してるような巻だったけど、ときどき入る人生観や勝負哲学みたいなもののセリフのチョイスにキレがあってよかった。こういう正気で狂ってる感じが一番イケてるよ。
マジでそうなんだよな(でもやっていくしかないんだよな)とすごい頷いてしまった。結局、ギャンブルのゲーム的な詰めの甘さはあっても、この漫画のこういう言葉の力強さに引っ張られて読んでる気がする。
1ページ目1コマ目これから始めるの、とにかく最初にびっくりさせるという大原則のつよさを感じさせてすごくいい。結局そのあとに性があるのはみんな知ってて横並びなんだから、それなら最初のページで掴まなきゃというのは本当に正しいよ。
kindleで読んでて驚いたのだが、おそらく底本にはなかったであろう箇所で『シンドラーのリスト』みたいな、モノクロの中で血だけ赤い演出が増えてる。元原稿がこうだったのか?と思ったけど、明らかにデジタル彩色した感じの赤なんだよな……90年代半ばの漫画で元がデジタルなわけもなく、謎。