ここ、エロ漫画家特有のアクロバティックカメラワークすぎて笑ってしまった。この「床掃除やってるシーンでキャラを透明な板の上に立たせて見上げるアングルで撮る」やつ、『ブレイキングバッド』でしか見たことなかったのにこんなところで見るとは。
冥界にあるレストランで、天国に行けずに彷徨う魂に美味い飯を振る舞って成仏させるという人情+コメディモノ。バトルやアクション的要素もあり、初期の『幽☆遊☆白書』的な感じ。肋骨剥き出しのヒロインのキャラデザ、ロボやデュラハンみたいな首とれ美少女に対する捻りとしてすごすぎる。
怨霊が出てくる時にドット絵表現+グリッチノイズになるシーンがあるのだが、これおもしろいな。たぶん、作者がツクールホラゲー系の文化に触れてきた人で、この表現とオカルトホラーが観念的に結びついてるものと思うんだけど、こういう出力になるのか。
「主人公のストーカーをしてる美少女が、自らがストーカーである事実を隠して、ストーカー避けのために主人公と付き合ってるフリをする(最後まで正体は隠したまま)」という漫画、「同性だからストーカーの気持ちがわかる」と「自らがストーカーである」を掛けた台詞で終わって驚いた。うまいな……
いきなり登場した自意識終わってる女はすき(話を転がすのには寄与しないからメインに据えられない宿命を背負ってるタイプのキャラだ)
エロゲ題材の必然性そのものはあったりなかったりのままだけど、ヒロインが七転八倒しつつスケベに持ち込もうとし、あらゆる話題が1・2のセックスに引きずり込む論理のアクロバットに展開されるので、スケベコメディとしてテンポがよくてめちゃくちゃおもしろい。表情描くのうまくて好き。
在宅でエロゲのシナリオライターやってる目に光がない姉、好きなんだよなぁ(感謝)エロゲを恋愛の教科書としている妹とエロゲをつくってる姉、という対比構造をつくるのが難しそうな位置関係だけど、役割を潰し合わせることなく展開を推進するために併存させられてるの、すごい絶妙でいい。
この辺とか、あまりにも体験談過ぎるんだよなぁ……ただ、『平成少年ダン』とかもそうだけど、平成懐古系の話はあまりヒットしてないイメージなので、ちゃんと続くか心配しちゃうな。やっぱり人口の絶対数が少ないせいなのだろうか。
「担当編集者がついたけど衝突してしまう」的なエピソードを描くのに、昨今のラノベやそれを好む編集者の描写がこれなのが大変な厳しさを感じる。まあ、準ポルノラノベの描写の正確性やキモさなんか作者や読者には瑣末な問題、という判断なんだとは思うんだけども。
小説や文芸の業界の描き方がライブ感で二転三転するので、あまりにも凄まじいことになっている。作家が〆切ギリギリにまったく違う原稿を送って文芸誌に載る作品をすり替える(すでに台割はできてるし文字数もページ数も違うし、編集者ではなく作家がやろうとしてるし)とか、あの、あの……!!
主人公が常にモブ顔みたいなところはこだわりを感じてすき(主人公の目力をもりもり盛ろうとする漫画多い昨今では大冒険な気はする。でも貫いて欲しい)