『一人称単数』村上春樹:6年振りの短編集。最初の2作『石のまくらに』『クリーム』を読了。『石のまくらに』が好き。語り手である僕が大学時代に一晩だけセックスをした、年上の女性の話。その女性がくれた私家版の歌集。表紙がこれまでの村上さんの小説本と違う。画を描いたのは漫画家の豊田徹也氏。
『黒騎士物語』(小林源文)で描かれたソ連赤軍兵士の「フレブ ザ フレブ クロフ ザ クロフ」のシーンは強烈だった。『戦争は女の顔をしていない』のソ連兵は紳士的だけど。
黒騎士一行が転戦した戦場にも『戦争は女の顔をしていない』のような従軍女性たちがいたのだろうか。
「紙の砦 (手塚治虫漫画全集)」手塚治虫:自伝的作品集。7編収録。面白かったです。傑作。表題作の原画は今年の夏に神戸の「手塚治虫展」で観ました。神戸時代の話は戦時中の話が中心で、空襲や空腹。漫画家デビュー後はトキワ荘時代など。「マンガの神さま」との交流「がちゃぼい一代記」が特に好き。
『王の死』諸星大二郎:社長の息子が帰国すると全社員が新社長として歓迎。社長の老いにシンクロするかのように、会社の業績も悪化していた。父は社長にとって一番大切なのは健康と話す。社員からの退陣要求を拒否した父は殺害され、息子は新社長に就任。安倍首相辞意の報道で久し振りに再読。傑作。