22歳の赤塚不二夫が描いた『心の花園』(1957年、曙出版)を読む。
少女向け貸本作品としては、デビュー作『嵐をこえて』『湖上の閃光』『嵐の波止場』に続く4冊目となる作品だ。
ラッパを吹きながら現れるお爺さんが戦争で家族を亡くし狂ったという設定にゾクリとする。ヒロインが都会での就職を望むというのも時代を映しているのだろう。
「悲しい話にすりゃいいんだろ」とばかりに、ヒロインの死をもって物語は幕を閉じるのには面食らった。
かさぶたを剥がして通り過ぎた痛みに向き合っているような物語が、お菓子のパッケージに起用されてもおかしくない程に可愛らしい絵で綴られるのが作風と言えるだろう。
子供の世界、ノスタルジーで惹きつけ、おしまいで読者に判断を委ねる。これが巧い。
『#僕らの色彩』完結第3巻を読了。
未来を生きる青年と残務整理に勤しむ壮年の交流物語に複数のゲイイシューを溶け込ませる手腕にただただ眼を見張る。
あとがきに感涙。宙とマスターを対比して描くことが、それぞれの世代へのエールになっている。そんな著者の優しさ、心配りが大好きだ。
〈そのころみた主な映画〉
※洋画と邦画に分け、括弧内の日本公開日順に並べた。
赤塚の居住期間(1956年5月から1961年10月)以前に日本公開された作品もある。また、旧作を上映する名画座(二番館・三番館)にて鑑賞した可能性もあり、日本公開と赤塚の鑑賞の間に大きなズレがあるかもしれない。
『オメガのジョーを消せ』の一部ページで、印刷物からの複写を使用していることもびっくり。
様々な単行本を見比べてみると、曙の全集に収録した後に原稿を紛失したのか、汐文社版では複写を使用、ボンボン版と竹書房文庫版ではトレス原稿で収録されています。
1コマ抜き出しても雰囲気が違いますね。