『チェンソーマン』第105話。前回(右)と同様のコマ割りをしつつ、デンジとの会話がテンポの良い漫才のようなかけ合いだったのに対し、ユウコとのそれは困惑と沈黙が入り混じる停滞した時間が表象される。この停滞と合わせるように夕暮から夜への光量の減少も描かれる。
紐で縛られた手。リード、凧糸とは対照的。米の独占、「米は完全なんだ」というパンに対抗するあまり独善的になってることの示唆?縛られた手は会長の重ねられた手と相似していること。会長がすべてを把握していることを示しつつ、両者の共通性も示す。
3コマ目の手が凄い。パンを掴み取るかのように女性の頭を掴もうとしているかに見える。というより、千切ろうとしている。
自衛の選択肢がノベルゲー的に視覚化されるけど、その矩形はオマケの迷路として反復される(「理不尽なゲームのように仕方なく選ばされた選択肢」という台詞)。しかしその前の頁ではコマ外から光が滲むような描写があり(天啓?)、最終頁ではコマ枠が消え光が直接フキダシを照らすような表現へ変わる。
『シン・仮面ライダー』冒頭が公開されたのでようやく言及するけど、『亜人』のIBMが人体を攻撃するのを忠実に映像化するとこんなイメージになるのかーと思いながら観てました。
絵柄とかコマ割りとかがちょっとニック・ドルナソを連想させるけど、持ち込んだマンガを読んでる編集者の目が描き込まれたコマと切り返されるマンガ家志望の人物の眉根の強張りが和らいだコマのようなふつっと感情が起こった瞬間の描き方は独特なものだと思ったり。