数多ある働き漫画の中で、コロナ騒動に最も自然な形で対応しているのは『OL進化論』。今週はほぼコロナがらみの話で、それでもいつもの日常ムードもそのまま。連載30年を越えてこの進化はすごい。コロナは働き方を大きく変えたので、ストーリー系の働き漫画は軌道修正に苦労しそう。
中曽根元首相は、朝日新聞の『フジ三太郎』で似顔絵がいつも凄く似ていたという記憶が強い。今では信じられないことだけれど、もう絶滅したこういうサラリーマン四コマ風刺漫画も、当時は世論形成に一定の影響力があったのだと思う。
安堂ミキオ『はたらくすすむ』第2巻も素晴らしかった。定年退職し妻とも死別した男がピンサロに再就職。終身雇用サラリーマンの遅すぎる自分探しが嬢や客を巻き込んで巻き起こすエンパシーの連鎖。世界はクソでも自分が変わればひょっとしたら……と信じられそうになる希望の漫画。大好き。
太平洋戦争を描いた漫画として今も記憶に強く残るのは森川久美の『南京路に花吹雪』とその続編『Shang-hai 1945』。国家に翻弄される個人を悲恋とダンディズムで彩り、国家を超えたなにかを信じようとする傑作。読み継がれる為にも電子書籍化すべき。
『私が15歳ではなくなっても。』(あむ)を16話まで読む。平凡なサラリーマンが出来心で女子高生とパパ活したことで人生転落し続ける。中年男の醜く滑稽な煩悩に真正面から向き合い、昨今の「いい話」的おじさんミーツガール作品を楽しむ層に冷や水どころか催涙ガスを浴びせる恐怖の怪作。超面白い。 https://t.co/Rpn4EQLFfA
ヤングジャンプに連載している本宮ひろ志の職業オムニバス漫画『グッドジョブ』。『ザ・ノンフィクション』みたいなドキュメンタリー的面白さがある。本宮ひろ志って今71歳なんだけど、キャリア末期によくこんな新しい佳作を生み出せるなと思う。和製クリント・イーストウッドは本宮ひろ志だ。
島耕作シリーズを聖典と仰ぐZ世代の若者が島耕作の世界に転生し、島に会おうとするスピンオフ漫画『逢いたくて、島耕作』。もう面白いということでいいと思う。
島耕作サーガ初期の副読本として楽しめるし、なによりあの名悪役・今野輝常に対する慈悲深い視線がいい。
話題の萩原あさ美『娘の友達』を読む。「アラフォーのサラリーマンが女子高生に恋をする話」ではなく「家庭も職場の人間関係も上手くいかず逃避したい中年男が、異常に干渉する親から逃れたい優等生女子高生との共依存に巻き込まれる話」。破滅フラグも沢山。思い出したのは野島伸司の『高校教師』。
日経平均バブル超え。過去最高値だったバブル絶頂の1989年に発売された『ツルモク独身寮』5巻で、新入社員の矢崎はローンで200万のクルマを購入。そうした消費が珍しくない、右肩上がり感覚の時代だった。いま都市部でクルマを買う若いサラリーマンはどれくらいいるんだろう。