水島新司による、恐らく唯一のサラリーマン漫画『サラリーマン太平記』(1968年)。給司(当時のお茶汲み係)から正社員になった自動車販売会社のお人好しサラリーマンが産業スパイ容疑で解雇され、屋台のラーメン屋として再出発する人情劇。ラストで作者が突然登場するメタ展開にビックリ。
【翔んだカップル1日1冊】2巻
優等生の杉村さんが勇介に同棲をもちかける。一方で勇介と圭は互いに気があるのに野獣になれず、ギクシャクしっぱなし。とうとう圭は勇介と同居する家を出ていく。
当時の柳沢きみおが描く女性は結構かわいくて、特に杉浦さんは眼鏡を取るとほんとに色っぽい。
今週の相談役島耕作。テコットを追放された元役員のショボくれた老後が詫びしい。そうなんだよ、これからの島耕作に必要なのはこういう老いの侘び寂びなんだよ。ビジネス情報よりもこっちをどんどん描いて欲しい。
サラリーマン金太郎は新入社員時代、会社を家族ではなく恋人に見立て、「会社と恋愛がしたい」と発言した。1995年。血縁ではなく恋愛だから、別れることもある。実際にこの後、彼は何回も転職することになる。会社家族主義からの脱却を早い段階で提案したラディカルなサラリーマン漫画だった。
『相談役 島耕作』、島耕作の孫が島耕作の妻(大町久美子)に惚れる展開でやばい。黒目がハートマークになってる。
『騎士団長 島耕作』第3巻。王国民を怠惰にしてしまう謎のラスボスが、実は島耕作(団塊世代)の立身出世ファンタジーにより生きづらさを抱え込まされた氷河期世代=団塊ジュニアの怨念だったという展開は秀逸。原作をリスペクトしつつ批評にもなっている、見事な終わらせ方だった。
サレンダー橋本『明日クビになりそう』第3巻。意識低い系の屑サボリーマンの日常を描くギャグ漫画。令和のスーダラ節。初期のウンコネタが無くなるかわりにダメな後輩が仲間入りしてバディものに発展。第95話「了解です」は我が身を省みてグッときた。
水島新司は『サラリーマン太平記』というwikiにも載らないサラリーマン漫画を1968年に発表している。車の販売営業をする冴えない主人公がスパイ容疑でクビになり、退職時に貰った車を使った移動式蕎麦屋になるという哀愁漂う人情劇で、途中で作者本人も登場していた。
月刊柳沢きみお、10月号が発売されたので、ドストエフスキー『罪と罰』漫画化連載を読んだところ、衝撃の結末が……。『特命課長只野仁』も唐揚げを買いにいくだけの話を2ヶ月続けたし、本気で心配になってきた。
映画『8番出口』を観て思い出したのは諸星大二郎が1976年に描いた短編漫画『地下鉄を降りて……』。
拡張を続けていた丸の内〜銀座の地下街から出られなくなった男の話で、当時のサラリーマンのルーティン生活の息苦しさ、出口の無さを批評した風刺コメディの佳作。