今週の #逃げ上手の若君 、ここ最近垣間見えつつあった時行君の「逃げ「以外」」の資質、相手への信頼と、その信頼を誠心誠意示そうとする真摯さが際立った回でした。そりゃあ、こんな裸の信頼を思いっきりぶつけられたら、どんなヒトでも応えたくなりますわよねー…
厚い信頼と言えば、今回は小笠原主従のコンビネーションもバッチリでした。それも濃厚なサービスシーン(?)付きで。敵役のはずなのに、微妙に憎み切れない、しかも強くて魅力的という(目や耳が本当に「口ほどにモノをいう」のはさておき…)
#逃げ上手の若君
しかもこの道化、単に王をからかうだけでなく、中々政治的洞察も鋭かったりします。例えば、こちら↓はヴ王が息子達を国境警備に左遷し、自ら出陣を宣した後ですが、道化は「寝首かかれるかもよ?」と中々王にとって耳の痛いことを言います。そして実際、この「予言」は後に的中するのです。
こうした道化の洞察力はシュワでも発揮されます。例えば、墓所に住まう選民を称する「教団」に対し、道化はヴ王よりも先に「墓につく寄生虫」とその本質を(王に寄生する自分と重ねつつ自嘲気味に)喝破しています。
面白いのはこの後、「教団」の面布を捲ってその正体(火の7日間前後からヒドラ化して生きてきた元人間)を見た道化が、「ワシより醜い者がいた!」と叫ぶ場面です。普通に考えれば、これは彼らの容貌を揶揄しているとも取れるのですが、意外と「それだけでは無い」可能性もあります。
これは、王の恩寵により宮廷で生活できる=王に寄生しているとはいえ、少なくともその言動は自由意思に基づき、思ったことを直言している道化の在り方から比べればかなり歪です。
だからこそ、道化は猜疑心強いヴ王の側に仕えることができ、また彼の発言は、王にさえ阿らない(しかも自己の思惑を絡めない)点で、おそらく宮廷内でもある意味信用されていました。そのことを何より示すのが、ヴ王の遺言ーそれも王位継承ーの証人に道化が指名されたことです。
そんなヴ王からの信頼に応える(?)ように、道化は毒気120%で王の最期を見送ります。もうちょっと愛を…とも思うのですが、ヴ王的にはこの位遠慮ない方が「小気味良い」と呵呵大笑しそうですね(笑)。うん、やはりこの方が彼ら主従には似つかわしいですね。
【余談②】墓所の主は「真実を語れ」と迫るナウシカに対し、道化に憑依して千年前の混沌について語っていきます。ここで、彼女に同行した蟲使い達や「教団」のヒドラ達ではなく、道化を選んだのは、もしかすると中立的証人としての資質を(ヴ王と同様に)主が見抜いたからなのかもしれませんね。
酒場で過激論ぶちあげて盛り上がっている栄一たちを見ると、るろ剣で吹き上がっていたモブ民権派の皆さんを思い出してしまう…熱をあげる前に、も少し足元見ようやと。 #青天を衝け
今週号の #逃げ上手の若君 は、ゲンバ君の乱世・新時代を象徴するような「おちょくり方」が痛快でした。そんな彼が毒づきながらも、旧時代の御曹司・時行君に仕えるというのもまた面白い因果ですね(単なるツ●デレにも見えなくはないが)。
そしてもう一つの見どころといえば、後醍醐天皇が膨大な恩賞処理に音を上げるところですね。近年、「実は武士を重視していた」と再評価が進む建武政権の一端が描かれる貴重な場面となります。このあたりの建武政権の先駆性については、亀田先生の「南朝の真実」がお勧めなので是非。
#逃げ上手の若君