それはナウシカの中の「何故?」という強い問いがあってこそでしょう。彼女は本作を通じ、一貫して「何故?」を問い続けています。何故、土鬼は王蟲を兵器に利用できたのか?何故、人間は愚行を止めないのか?何故、その愚行のために腐海や蟲が犠牲にならねばならないのか?なぜ?何故?ナゼ? https://t.co/UWPvi4VNLO
この性質により、例えば培養された幼生王蟲を用いた囮作戦には群全体が反応しますし、また土鬼大海嘯では、兵器たる粘菌をすら仲間と見なし、その心を救うために土鬼の地に集団で向かいます。
こうした道化の洞察力はシュワでも発揮されます。例えば、墓所に住まう選民を称する「教団」に対し、道化はヴ王よりも先に「墓につく寄生虫」とその本質を(王に寄生する自分と重ねつつ自嘲気味に)喝破しています。
実際、ナウシカが腐海に赴いたからこそユパは窮地を脱したのであり、また隣国ペジテの異変(滅亡)をいち早く察知できたわけです。ただ、それは腐海行きを「正当化」出来る理由であり、彼女本来の目的出はありません。ではナウシカ自身の目的とは何か。 https://t.co/nRPObHudlN
その答えとしては本能に基づかない理性的行動としての自殺=大海嘯を蟲たちに起こさせるためではないかと考えられます。五巻において、大海嘯は王蟲の人間への怒りではなく、仲間たる粘菌を救うという、極めて人道(!)的・利他的理由に基づいていたことが明かされます。
だって「テロ・暴力行為で立候補者を倒す=選挙をひっくり返す」ことを容認した瞬間、その刃は自分にも向かいますから。え?適用されるのは「悪、民主主義の敵」のみ?その「悪」認定の妥当性を誰が担保するのか、また「敵」が自分を同様に「悪」判定することは防げませんね。
ではこの膨大なエフタル航空軍はどのように運用されたかですが、それを示唆するのが、1巻前半でのクシャナ軍との対決です。この時点ではガンシップは、装甲兵と決闘するナウシカを低空から援護する形をとっています。
というわけで #ナウシカ 考察、シュワ編です。墓所による世界浄化計画については別稿で考察済なので、今回は都シュワの一部としての墓所、とりわけ「大僧院」との関係について観ていきたいと思います。
そのカギになるのが、彼女が城の地下室で密かに育てていた腐海植物です。映画版では「腐海の毒に冒された皆を治したくて」という、ある意味分かり易い理由が示されますが、実は漫画版はこの点が明示されていません。 https://t.co/HKGI1Pz2qM
王蟲の大群が胞子を撒き散らしながら人界たる都市・村落に驀進する…土鬼の場合を見るまでもなく、そうなれば王蟲の目が攻撃色であろうとなかろうと、人間社会側は壊滅的な被害を受けるであろうことは想像に難くありません。