【補論①】実は作中でトルメキア航空軍が「爆撃」をする様子は殆どありません。僅かに三巻で蟲に襲われた村を第二軍のバムケッチが爆撃するのと、最終巻のシュワ攻防戦において、幕僚が上空からの墓所爆撃を「進言」する場面のみです。
それからアスベルは、巨神兵が開けた「傷口」から墓所に潜入します(この「傷口」も割と至近距離で危機一髪!)。そこでヒドラ達との戦闘になりますが、ここが陽動(?)になる形で、ニアミスしたナウシカ達はすんなり墓所中枢に進むことが出来ました。ナイスアシストですよアスベルさん!
そう考えると、トルメキア戦役のヴ王の行動にも違った見方ができます。即ち、ヴ王は三王子の謀略を黙認し、更には自らクシャナ暗殺を下命しますが、同時に三王子も戦争を通じ「テスト」した上、その失態を貴族諸侯の前で厳しく叱責します。その上で自ら軍を率いてシュワ攻略に出撃するのです。
また、「神人の地」では、時間経過すら生物の成長を促すため歪められている=加速させられる様子が伺えます。そうした「神人の地」の異界ぶりもまた、ナウシカが訪れた庭園を彷彿とさせます。
ここに至るまでのアスベルの行動もまた、危機一髪の連続でした。シュワ到着後、巨神兵のビーム攻撃に巻き込まれて大破したガンシップを何とか墓所上に不時着させましたが、お陰で墓所の「天の火」から逃れ生き延びることが出来ました。
彼等は「忌まわしい」蟲を使うこと、腐海に住まうこと、屍を探り遺品を盗ること、そして(恐らく腐海暮らしでロクに風呂にも入れないことによる)酷い臭いにより、腐海外の人々からは一種の賤民として忌み嫌われています。