実際、多くの場面でチククの行動ーとりわけ「超常の力」の行使ーは受動的で、ナウシカやチヤルカに乞われるままになります。年齢を考えれば当然なのですが、その危なかしさは、ナウシカをして巨神兵からチククを連想するほどでした。
まず、両者とも「体の一部」から培養できる点があります。王蟲は卵の欠片から、ヒドラは死体からですが、直前の描写を見るとこの「死体」、ヒドラ化した末に遂に限界を迎えて朽ち果てた「元人間」にも見えるため、その場合は正に王蟲同様の「再利用」となります。
一つ云えるのは、彼等には腐海外の「定住民」へのコンプレックスは強くあるという点です。何せ彼等は腐海の産品を腐海外で売り捌かない限り、酒にも旨い食べ物その他必需品ー更にはそれらの入手手段たるカネもーが手に入らないのです。
更に今回、トドメに足利尊氏公から「大乱さえ起きなければ自分は忠臣として終えられるであろう」発言が出るに至っては、「観応の擾乱」読者としては非常にグッとくるものがあります。ここはまた、亀田先生の感想も気になるところ(?)ですね。
以上から海上からの進撃に主力を置いたのは、土鬼完全制圧を念頭に、シル川沿いに展開するであろう敵主力を奇襲、主導権を握るためであったと考えられます。では、2番目の問題ーなぜ航空機ではなく船舶を使用したのでしょうか?
ジハシリの在り方(森の獣を利用し、また人界で蔑まれる)もナウシカの蟲遣いを彷彿とさせる…蟲遣いの場合にはそこに彼らなりの愛情ももう少し見えるのですが。 #もののけ姫