また、ナウシカ(やヴ王)のように「遠い過去に決められた計画で未来を決められたり、まして現在の生を潰されてたまるか!それがどれだけ愚かで悲惨でも」という、清濁併せ呑んだ考えとも墓所の相性は悪くなる。最も、この思想に至るには常人には乗り越えがたい試練を積み重ねる必要があり、(続く)
まずは対面時から。顔を見て一言二言交わすだけで早くも「狂信者の類ではないのでは」と考えを変えます。勿論、主君たるミラルパのーひいては帝国のー「敵」であることは変わらないのですが、少なくとも予断に凝り固まらない柔軟さが早くも伺えます。
因みにナウシカ世界では「名を与える」「名を明かす」ことは相手への信頼・友愛を示す重い行為となります(何処か千と千尋に通じますね)。その意味で、オーマという名を与えることは、ナウシカの覚悟の現れと言えます。この子とともにシュワの墓所を封印するー恐らくは共に生きては帰れなくとも、と。
というのはナウシカも気づいていたように、こうした「再生」には土の誕生ーより正確には有機体・微生物を含む土ーが不可欠です。が、腐海が浄化過程で生む「砂」は元は汚染物質を封じ込めた、金属類の複雑な化合物で、火でも薬品でも溶けないシロモノ(!)。では、この「土」は一体どこから来たのか?
こう考えると、上兄二人の「シュワ行き」にも少し別の見方が出来るかもしれません。というのも、王権簒奪を考えればシュワに向かうより王都に向かう方がマシなのですが、それを二人がしなかったのはーシュワにいる父と軍主力をどうするかを別にしてもー自軍が着いてこないからではないでしょうか?
だからこそヴ王は親征=「シュワの秘密を独り占めする」為に策を弄します。即ち、クシャナと精鋭第三軍を引き離してすり潰し、劣勢の第二軍を見捨ててきた「バカ息子共」を叱責、併せて国難を訴えることで親征を自ら「お膳立て」します。