そして次の出会い…の前に、釈放された捕虜達からナウシカの人となりを聞く場面を挟むのが巧みな所です。チヤルカのナウシカ理解が段階を踏んで進んでいること、またその「情報源」が多角的かつ「彼女は本当に帝国の敵か?」という疑念を深める方向に沿っています。
その結果第三皇子は見事に逃げ遅れ、のみならずカボの軍兵も船団ごと潰滅するわけですが、そこまでの犠牲を払って成し遂げたのが「クシャナを侮辱し逆上させること」だけでは、余りにも虚しい(しかも義妹への打撃は侮辱よりも自身のあっけない死の方が遥かに大きいという…)
例えば4巻ではマニ族がシュワへの巨神兵回航を手伝わされていますし、7巻ではシュワについても何も見えないことに驚く≒シュワを見たことがある?人々も描かれています。
即ち、二人は父王から国境警備に合わせ「戦が済むまで二度と都に戻るな」と居並ぶ貴族の前で直接厳命されています。このため、都への帰還は即反乱となるのですが、果たしてこんな二人に軍団は付いてくるでしょうか。…7巻での「置き去り事件」を見る限りかなり怪しそうですね。
そして彼は前王朝を打倒すると、新王として墓所(と教団)に迎え入れられ、そしてナウシカと同様に墓所の主と対面することとなります。ナウシカと良く似た彼が、しかし彼女と決定的に道を違えたのは、ここで彼が墓所の主に応えた(屈服した?)ことでした。
さて今から少しですがお仕事です。こんな晴れた休日にお仕事とかはいると、ついナウシカのように黄昏てしまう…
かくて思い止まったチヤルカはナウシカを丁重に遇します。但しまだ、あくまで「命の恩人」への義理として。たとえ「敵」であっても許されるであろう礼節の範囲内で。