同じ様に7巻。ナムリスの粛清から解放された後、土鬼難民とクシャナ達トルメキアの間で一触即発となった折です。この時チヤルカは、調停を求める難民代表に対し、極めて「抑制的」に対応します。 
   それは即ち、ペジテで発掘されるエンジン或いは武器であったり、甲冑や航空機等の素材となるセラミックであったりですが、これらの輸出により、とりわけ戦時にはエフタル諸国は(少なくとも一部は)多いに潤ったと考えられます。 
   以上、「王の最期」ナムリス編、お楽しみいただけましたでしょうか。今後また、ミラルパ様やヴ王陛下についても取り上げていきますので、引き続き宜しくお願い致します。…ところで腰痛が中々治まりません…やはりナムリス様のようにヒドラ化するしか…? 
   結局、ミラルパが万事決めて陣頭指揮を取る治世が百年も続いた結果、彼に仕える僧会は保身と責任回避に走り、さもなくば虎の威を借るなんとやらとヘイトを集め、ミラリパ無しでは何も出来ない集団となる…末期ナポレオン帝国や各種長期独裁政権を彷彿とさせますね。 
   腐海から出ず、外界に依存しない「森の人」にとって、腐海とは正に「世界ノ全テ」であり、自身を含む腐海全体を一個の生命と捉えることで、彼等は深い精神的充足を得ています。この点は賤民としての劣等感が強い「蟲使い」と異なっており、作中の「森の人」を落ち着き洗練された人々としています。 
   にも関わらずジルは同盟には加わるが、ガンシップは「ナウシカの仕事」=大海嘯阻止に使うと宣言し、またミトにユパを探してナウシカの助けとさせるよう依頼を行います。これは、谷の安全だけを考えれば(少なくとも短期的には)決して最善の策ではないでしょう。 
   また、チヤルカのこの対応が些か後手に回り、結果ユパの死という悲劇の一因になった面は否めません。しかし同時に、チヤルカ達と共に動いた女性や子供・老人・僧侶らの「人の鎖」が過激派の気勢を削ぎ、ユパ一人の犠牲に「抑え込んだ」のもまた事実なのです。