それは、「そもそも腐海を守らねばならない理由は何か」に関わります。言うまでもなく腐海が人間から危険視される理由は、腐海が発する有毒の瘴気ゆえですが、これはあくまで浄化過程時の副産物に過ぎません。副産物のせいで危険視される⇒その対策に蟲というのは如何にも泥縄式に思われます。
実は漫画版における「青い衣の者」伝説の主な舞台は土鬼でありエフタル諸地域ではありません。後はわずかに、「森の人」の始祖が青い衣の者(の一人)に率いられて腐海での生活を始めたという伝承が残る位です。
また物語中盤にナウシカの宿敵となる皇弟ミラルパは兄曰く若い頃はナウシカそっくりの、理想に燃える慈悲深い名君でした。老いて不信と憎悪に支配された暴君となったミラルパは、「曾ての自分」に対峙し、今の姿を「みじめであわれ」と断じられることで大打撃を受けます。
ナムリスはかかる墓所の「ご託宣」を散々聞かされ、それでも「父祖の様に自ら国を切り取る」と全力で抗ったものの、正に「墓所の主のいう通り」暴君は次代の聖人に打倒されました。BADEND(めでたしめでたさし)……
では何の為の技術保存かといえば、それは為政者への利益供与により墓所の権威強化と世界浄化計画の安定的遂行を達成するためとなりますが、更に踏み込んでその技術が何故軍事技術でなく生命工学だったかとなると、恐らくは「世界浄化計画と墓所建造に係る技術」をそのまま残したからだと考えられます。
ドニエプル川右岸から撤退しつつ「住民避難」を行うロシア軍、土鬼から戦利品根こそぎしつつ引き上げるトルメキア軍そのもので草も生えない。
#ナウシカ
即ち、物語冒頭のユパ帰郷時には、これまでと異なり或いはこれまで以上に「ジルからの継承」が風の谷において喫緊の課題になっていたと考えられます。だからこそ特に漫画版のジルはナウシカにかなり厳しく接しており、様々な難局への対処を試練として課す様子も描かれます。