墓所でのヴ王の最期を考えるには、まず彼の墓所行きの「目的」をお復習する必要があります。それは、王の言葉を借りれば「墓所の秘密を掴む」ことであり、トルメキア戦役の抑々の目的もそこにありました。…しかしその場合、ヴ王の墓所での言動には些か奇妙な点が出てきます。
この単行本追加部分(4巻81頁下半分~83頁上半分)は、出陣前に暇乞いに来たクシャナを、母がそれと認識出来ず、「敵」から娘(実際は人形)を守ろうと敵意を顕にするという、かなり切ない場面です。よりによって、母から仇と思われるとは!しかも母はまだ自分(と思い込んだ人形)を愛しているのに!
こうしたナウシカの「何故?」の原点にあると思われるのが、幼少期における(恐らくは唯一の友人だった)王蟲幼生との別れでした。「蟲とヒトは同じ世界に住めない」と父ジルはじめ大人達から無理矢理友を引き離されたトラウマが、彼女が腐海を求め、また「何故?」を問う原点だったのではないか。 https://t.co/Qdw2ZXXzVi
というのはナウシカも気づいていたように、こうした「再生」には土の誕生ーより正確には有機体・微生物を含む土ーが不可欠です。が、腐海が浄化過程で生む「砂」は元は汚染物質を封じ込めた、金属類の複雑な化合物で、火でも薬品でも溶けないシロモノ(!)。では、この「土」は一体どこから来たのか?
次に②の型ですが、墓所に仕える「教団」のメンバーがこれにより数百年…場合により火の七日間直後あたりから生き続けています。また、ナムリスも同様に墓所でヒドラ化していることから、このヒドラ化技術は墓所内で現役維持されていると考えられます。
そしてオチの小笠原サン。もはや目が独立したイキモノ化してますが、今回時行君が活躍できたのも、小笠原サンの卓越した弓馬術と、小童相手にも手を抜かない全力投球ぶりあってこそなので、実はイイ強敵なのです…目はギャグ要因だけれども。
即ち、二人は父王から国境警備に合わせ「戦が済むまで二度と都に戻るな」と居並ぶ貴族の前で直接厳命されています。このため、都への帰還は即反乱となるのですが、果たしてこんな二人に軍団は付いてくるでしょうか。…7巻での「置き去り事件」を見る限りかなり怪しそうですね。
こう考えると、上兄二人の「シュワ行き」にも少し別の見方が出来るかもしれません。というのも、王権簒奪を考えればシュワに向かうより王都に向かう方がマシなのですが、それを二人がしなかったのはーシュワにいる父と軍主力をどうするかを別にしてもー自軍が着いてこないからではないでしょうか?