もしマニ族の決起なかりせば、土鬼避難民に多大な犠牲が生じることとなり、それはナウシカの「憎しみより友愛を」という説得に力を失わせたことでしょう。他ならぬナウシカの行動こそが、ナムリスの「暴走」を誘引したのですから。その意味でもアスベルの功績は大なのです。
そのこと(僧正がナウシカに殉じたこと)に彼女も気付いたのでしょう。逃げ延びた彼女は荒れ狂います。「死んだら何にもならないのに…」の呟きからも、多分ケチャ自身、その怒りが半ば八つ当たりであることに気付きながらというのが切ないですね。
その点で、実は「クシャナ毒殺未遂事件」の主犯がヴ王とは考えにくいものがあります。まだクシャナが幼少=即位間もないヴ王にとって、両派のバランスを崩す陰謀を自身が仕掛けるメリットは皆無なのですから。
と今回の考察はこんなところですが、今宵はもう少し妄想の翼を広げてみましょう。まず、ミラルパ&ナムリス兄弟の「誕生」についてです。紙幅の関係上か、二人の「母」は勿論、兄弟の妃となる女性も全く出てきません。都シュワにいるのは、ウンザリするほどの「クソ坊主共」のみ(笑)です。