そして「浄化耐性」をもつ人造人間を開発し、自らの神として独占しようとした「聖Nova」をPolice=政府が潰し、そのデータ解析により「人類改造」を企てた…あれ?「墓所」を潰しても、ナウシカ達の時代から「人間」がちっとも進歩していないのでは…(絶望)
しかし、かなり早い段階でユパは自分の限界も悟ります。ナウシカが見つけた秘密ー清浄な土と水の中では腐海植物も瘴気を出さないーを目にしたユパは愕然とします。自分が半生追い求めたナゾのカギが目の前の少女にあることに今まで気づかなかったとは!
それからアスベルは、巨神兵が開けた「傷口」から墓所に潜入します(この「傷口」も割と至近距離で危機一髪!)。そこでヒドラ達との戦闘になりますが、ここが陽動(?)になる形で、ニアミスしたナウシカ達はすんなり墓所中枢に進むことが出来ました。ナイスアシストですよアスベルさん!
そんな墓所には、墓所の「聖なる文字」解読に全てを捧げるヒドラ化人間が住み着いています。「教団」を名乗る通り彼らは墓所を主として崇めますが、人間か自身の被造物に縋る様は何となく滑稽で、ヴ王の道化が彼らを「寄生虫」と評したのはなかなか毒が効いた皮肉といえます。
例えば4巻ではマニ族がシュワへの巨神兵回航を手伝わされていますし、7巻ではシュワについても何も見えないことに驚く≒シュワを見たことがある?人々も描かれています。
そしてかかるヴ王と対比した場合、三巻のクシャナには「まさか実の父がそこまで…!」と動揺する点で政治家としての弱さというか、「母の敵討ち」以外何も見えなくなっている危うさがでています。これでは確かに、ヴ王も彼女を後継者にはし難いでしょう。
ではジルは全く父として娘を案じていなかったのかといえば、寧ろ逆であろうことが臨終の際の態度に現れています。いよいよ死にゆく間際となったジルは、ミトからナウシカが大海嘯への懸念故ひとり従軍を続ける決断をしたことを聞かされます。
この点で興味深いのは「超常の力」が人間のみならず、巨神兵やヒドラといった人造生物や、テトなど動物にも広く発現していることです。この遍在性ー特にヒドラと巨神兵における発現ーは、「超常の力」が旧世界の人類により「人為的に」付与された可能性が高いことを意味します。