まず、両者とも「体の一部」から培養できる点があります。王蟲は卵の欠片から、ヒドラは死体からですが、直前の描写を見るとこの「死体」、ヒドラ化した末に遂に限界を迎えて朽ち果てた「元人間」にも見えるため、その場合は正に王蟲同様の「再利用」となります。
トルメキアではヴ王の死とともにクシャナが「王道」への決意を固め、土鬼ではシュワ消滅とともに神聖皇帝なき国作りへ皆が向き合うようになり、ミトや蟲使いたちは旅の終わりを迎え、アスベルはケチャとボーイミーツガール…正にナウシカを囲んで踊るがごとき大団円です。
寧ろ、なまじ兵からの人望と軍事的能力(少なくとも前線指揮レベルでは)がある分、クシャナの方が危険な「優先排除対象」になったかもしれません。…殿下親衛隊入隊志願者のワタクシとしては、甚だ不本意な「評定」ではありますが。
もう一つ傍証となるのが王都トラスでの父ヴ王からの叱責です。蟲の襲来で戦どころではなくなり、末弟の遺体さえ見つけられなかったと弁明する二皇子に対し、父王は「それこそ好機、なぜ(弟探索なんぞにかまけて)シュワを奇襲しなかった」と叱り付けています。
そしてこのジレンマは一人神聖皇帝(ナムリス・ミラルパ)に限らなず、それ以前からずっと土鬼の地の宿痾であったことがユパ達から示唆されています。いわく、「死の影の色濃い土地である」と。
連載版ではこの二頁は以下の一コマに纏められていますので、かなりの加筆になります。てか痛い、痛い。ちくちく過ぎて辛い…!が、何故にナウシカの内なる虚無はこの場面でこれ程自己批判のボルテージをあげてきたのでしょうか。
誰ですか人員減&業務増加ドンの我が職場を「クシャナ殿下の来ない第三軍」と言ったのは(現場無視の上層部)(戦力は半減)(でも業務大幅見直しは社内政治的に許されない)
#ナウシカ
もう一つ、王蟲の体液には腐海植物の成長を促す作用があると思われます。事実、土鬼大海嘯では王蟲の骸から爆発的に森が生まれましたし、エフタル大海嘯でも本来は森ができにくい筈の砂漠地帯に、王蟲の骸を苗床にした腐海が形成されていきます。
その際重要なのは培養中、王蟲が眠らされていること、培養槽が破壊され王蟲が目覚めようとするや、直ちにその殺害が命じられる場面です。このことから、王蟲は眠らされている間は仲間を呼べず、安心して培養できると考えられます(逆に言えば、目覚めて仲間を呼ばれたらアウトです)。