例によってこの部分も単行本版での追加になります。より正確には、連載版では一コマに纏められた虚無からの断罪(一枚目)が、単行本版において一ページ以上に引き伸ばされたもの(その最初が二枚目、最後が三枚目)の、最後に追加された一言になります。
ただ装甲は木製とあって「よわよわ♥」で、僧会直属の「戦艦」はもとより、遥かに小型のコルベットやガンシップにさえ、一対一であれば木っ端微塵になりかねません。その意味で浮砲台は(自己の搭載火力に耐えられるという定義での)「戦艦」とは言い難いものとなります。
これは、漫画版でのナウシカ「初陣」で出てきますが、この時のガンシップは地上でトルメキア兵と対峙するナウシカを低空から直接支援しています。これを拡大して考えれば、地上軍と直接連携している場合には、地上軍からの補給が期待できるためバージは不要となるでしょう。
そんなガンシップの「問題点」が長期単独行動に不向きな点です。即ち、基本的にガンシップの艦首砲は単発であり、食糧等含めた補給にはバージ(輸送グライダー)の曳航が不可欠です。
腐海植物は浄化環境下では少数(恐らく他の植物との競争に圧される)、それも極めて小さくなり瘴気を出さなくなります。そして瘴気がない環境で蟲は生存できません。するとどうなるか。
映画版でも出てきますが、腐海の「底」は地中の毒を浄化しきると枯死し、空洞になっていきます。そしてこの空洞は性質上、浄化が進むにつれだんだん地上へと上がっていくことになります。
まず、腐海を含む作中での環境浄化システムの「分担」を整理すると以下のようになります。
腐海:有毒物質の無害化、大地清浄化
庭園:浄化世界に伝える種子・遺産の保存
墓所:浄化過程の監視、人類への干渉
というのも、これも前回考察したように墓所の本来目的とは腐海創造による世界浄化システムの構築・維持であり、それゆえ貯蔵技術・知識が生物工学に偏り、また王蟲の体液と墓の体液が同一だったり、王蟲同様にヒドラを培養する装置があるなどの特徴を有したと考えられます。