変わらないのはポジティブ感情だけでなく、16年前の二人を遠ざけた彼女の才能に対する主人公の妬みについても同様。
けれど、時を経てその才能を真正面公から見つめた主人公は、妬みは妬みとして抱えながらもそれにも増して彼女を好きになる。
好きでやまない彼女に対して、背中を見つめることしかできないという主人公の姿を描いたシーン。
時を経てなお好意だけでは超えられない、16年前と変わらぬ何かが感じられて個人的にはすごく好きです。
松浦理英子先生の信者なので性能領域というものにグッときます。
人気中間投票で初めて眞妃より上の順位になったゆめ莉。
憧れの人の前に立つことに複雑な思いを抱くゆめ莉ですが、そんな彼女の背中を眞妃は"顔を合わせないまま"
「前列立ってみたらいいのに。きもちいーよ」
という言葉で押します。
初めて前列に立ったゆめ莉の目に映ったのはそれまで見ることの出来なかったファンの表情。
そして初めて前列に立ったゆめ莉に対してファンも新たな発見をする。
ゆめ莉とそれを取り巻くコミュニティー。
アイドル現場ならではの輝きに溢れたシーンなのですが、
節子さんの科白。
「雪乃はかわいいから…女の子だから……いつか当たり前に気になる男の子ができて……セックスして……」
「でも、そのうえで私を……私を選んでほしいってそう思って……」
がとても切実で泣けてしまいます。
この"体"と"心"の関係について、
何かを失い続けるのっぴきならない絶望の中で、体と心にまつわる解像度の高い会話を繰り返しながら雪乃と節子は特別な関係を築いていく。
というのが本作の特徴かと個人的に思っているのですが、
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↑心と体の分かちがたさをテーマに含んだ百合要素のある作品だと、横槍メンゴ先生『レトルトパウチ!』が思い浮かびます。
「わたしたちは
他の誰にもわからない自分だけの
体と心でできている」
めばえとリカのこの会話シーン、すごく好きですね。
心と体にについてのシリアスなテーマを持った『レトルトパウチ!』で特に好きなのは女子高生リカが好きな女の子めばえに向けて
「触れたところから全てが流れ込んで通じてしまえばいいのに」
「わたしたちはセックスにそんな力がないことを知っている」
「でも」
「だからこそ」
と願うシーン。
『セイキマツブルー』の主人公・高坂と遠峰を分かつその"体験"は、魚喃キリコ先生『blue』において桐島と遠藤の間に生んだ"体験"と類似性を持っているのですが。
シーナはミミと相部屋になることで様々な気付きを得て、少しずつ彼女のことを知っていくのですが。
それは一つ屋根の下で暮らし始めた魃と人を描いたあおのなち先生『テオ-THEO-』(百合ではありません)でも見られた構図。
『テオ-THEO-』でも、近くにいるからこその"息づかい"や"温もり"、そしてそこから生まれる"気付き"や"愛しさ"が丁寧に描かれていたので、シーナとミミの今後がとても楽しみです。
それにしてもキスによって魔力を注ぎ込み傷を癒すというアイディアは最高ですね。