少年誌向けのボクシングマンガである。まあ努力して世界に羽ばたく。予想の範囲内だ。んでギリシア12神というナゾ集団が黄金のヘリコプターに乗って飛んでくる。誇張でなく明らかに逸脱している。要はムチャクチャだ。だからガキはそこに「すげえ」と熱狂する。小賢しい作家ではこんなの絶対できない。
「男の条件」の男谷草介がなぜ「キリストみたいな大男」と描かれたのかもう少し考えてみるべきだと思う。自分はそこに梶原一騎による「天地始之事」を見る。遠い遠いトキワ荘で、全ての漫画家の罪を背負って消えていったある男の伝承が、変容を重ねて劇画世界にまで伝わっていたのではないか。