今日この間違いを指摘することは簡単である。しかし視点を変えてみれば、望月三起也のような当時最強のマニアがこう描写したということで、当時の共通認識、アメリカ経由で大量流入した戦後西洋文化、さらにはバブル以降ようやくまともに整った日本のイタリア料理のニュアンスを知ることもできる。
これさあ、この時代のグラデのトーンって高かったんだ。「さあ、この高級品をここに貼ってやるぜ!」みたいな筆者の高揚を感じる。さながらフェルメールの青のように。
独創性に溢れた「TRON」の頃、ディズニーは低迷していた。「四万年漂流」の藤子不二雄も独創性に溢れ、かつ低迷していたことを忘れてはならない。「リトル・マーメイド」や「ドラえもん」の作風は完全に別である。眠れる強靭な獅子が、さらに貪欲に目覚めたと見るべきであろう。