嘘で塗り固めた虚像。溜め込んだ歪な狂気と息苦しさ、唯一の居場所すらも捨てた決死の逃避。業と贖罪を背負い、善悪を越えて辿り着いた結末は最早"漫画"の域に留まらない。
間と無言の圧、行間で雄弁に語る様は文学小説だ。もう何十回読んだだろうか。「アンダーカレント」との出逢いが、僕を救った。
『ブランクスペース』
漫画で"空白"を表現する面白さ。肥大化する鬱憤と溢れる心の闇、そんな暴走する思春期の危うさと誰もが経験した爆発寸前の感情を描く圧倒的センス。
文学的でポップな作風、不穏でスリリングな話運びは天才の所業。クソったれな青春、「想像力」の可能性と怖さを痛感。大傑作。
『なれの果ての僕ら』
命懸けの監禁劇。弱さ、脆さ、醜さ。善性を問う地獄の実験、次々と浮き彫りになる人の本性と悪意。暴力と支配の誘惑、極限状態で精神が崩壊していく様は実に残酷だ。
事件の顛末から遡る構成、アッと驚き想像を覆す終盤の緊迫感は凄まじい。一抹の希望が残る閉幕に拍手。傑作。
高校生時代から「ファイアパンチ」をリアタイしてた僕達はチェンソーマン10~11巻、ルックバック、さよなら絵梨で加速する謎の考察祭りに辟易してた。
友達と「予言のナユタやべぇ!!」、「シカクおもしれぇ!!」、「死んだら映画館行きてぇ!!」つって駄弁ってたあの頃が懐かしくて泣いてしまう。