縦書きでも横書きでもOKな日本語と違い、(文章としては)横書きしかあり得ない英語での漫画英訳は試行錯誤の連続でした。
80年代半ばの黎明期は、英語的読み易さを優先するため、原稿を左右反転し、フキダシの形まで英語を収め易いように変更していました。
せっかくここまで漫画を再現してくれているのに、当の日本側がその意気に応じねばどうするという気持ちになり、読者の皆さんにはちょっと無理をお願いする形になりますが、完成形のように、文字組、フォント、ルビを漫画のスタンダードに合わせた次第です。
パラブル(寓話)のタイトルの通り、いつもよりも風刺色の強いストーリーですが、もちろんこんなスペクタクルなシーンも。
『グウェンプール』などでおなじみのグリヒルさんが手掛ける「かいじゅうステップ」も同時収録。
さらに、#1000を記念して、『アクションコミックス』#1も特別収録。オールドファンには、『月刊スーパーマン』#25に掲載が予告されながら雑誌が#24で休刊してしまった悪夢についに終止符が打たれる日が! ジェフ・ジョーンズの80年ぶりの後日譚も注目です。
AmazonからもDC/マーベルオムニバスの発売延期のお知らせが。今さら少々伸びても構いませんが、気になるのは原稿のクォリティ。スキャナーに問題があったのか、前回のTPBは(色味はともかく)細かい線が飛びまくり。
原稿はとっくに散逸してるし、修復でなんとかなるなら、2年くらいは待つよ。
時代背景が3つと言う事は盛り込むネタも3倍という事で、解説が大変な事になっています。今回は、ロンドンのキングス・クロス駅が重要な舞台になっていますが、その駅だけでもイギリス建国前から現代に至るネタが詰め込まれています。東京駅なら、「点と線」から「シン・ゴジラ」までとか?
同時収録の「アニュアル2012」では、太古のノヴァ・プライム時代のサイバートロン星も登場。ダイ・アトラスはもちろん、きれいなガルバトロン、サイクロナスは必見。
ライターはスタン・リー、アーティストはスティーブ・ディッコ、翻訳は小野耕世氏と、まさしくマーベルと邦訳アメコミの原点のような作品です。
また本書では、サーファーのオリジンストーリーである『シルバーサーファー』#1を特別に収録。米仏のスタイルの違いを実感できます。ジョン・ビュッセマの力強くも優美な曲線や、巨峰を赤と黄に塗るセンスはアメコミならでは。