竹のママは筋道の通った諭すようなセリフや激しい言葉を投げつけたりしますが、こういったところは常山孝先生のキャラの個性だと思います。その他、老人や個性の強いキャラは常山孝先生が描かれることが多いようです。
うしおそうじ先生と顔の描き方が似てるような気がします。親子であっても絵が似るとはいえないですが感性の近さはなんとなく感じます。
漫画アクション昭和43年8月10日号 小島剛夕「おぼろ十忍帖」。小島剛夕はこの時期までカムイ伝の絵を描いていたのでカムイ伝風。主人公のくノ一の名前「おぼろ」は山田風太郎「甲賀忍法帖」のヒロインと同じ。画像3枚目貸本作品「紅ばらの里」(昭和39年)などで既に登場している。
マニアぐるうぷ(モンキー・パンチ)「ピンク・ガードマン」は最後に007が登場するが、これはモート・ドラッカーのナポレオンソロパロディ回と同じ展開。モンキー・パンチの描く007の顔はドラッカーの007パロディ回のほうの顔を使用。
手塚治虫の初期作「奇蹟の森のものがたり」の自画像は鼻のブツブツが描かれておらず昭和20年代の作品でも見当たりません。この鼻が描かれたのは昭和31年頃からのようで「来るべき人類」(1956年)あたりから描かれています。この自画像の原型が新関健之助のキャラなのか気になるところです。
川勝徳重先生の「柳が泣いている」は全174ページで、普通の貸本単行本などより長編ですが非常に臨場感があり江戸の上野を歩き回っているような気分になれます。これくらい面白い作品はなかなかないのでは。
吉元正(バロン吉元)は昭和40年代初頭メンズクラブで紹介されていたトラッドファッションに強く影響を受けていたようで当時の貸本単行本のキャラもトラッド調。画像2枚目は荒俣宏インタビューでの当時の本人の様子。
星野茂樹作品最新作でオガツカヅオ作画「ことなかれ」の主人公。今のところ性格は未知数。この作品の面白いのは主人公には特殊能力が無く毎回霊能力者を呼んでくるところ。内容は心の闇を描いていた「R探偵事務所」後半の感覚に近いような気がする。
吉本三平「アルプスへ来たミッキー」。実業之日本 1933年8月1日号。身も蓋もない言われよう。はっきり言って吉本三平のミッキー漫画は面白い。コグマノコロスケだけだとわからないけど大人漫画的な感覚も持っている人だということがわかった。
「柔侠伝」第二話のエピソードは「ククルス・ドアンの島」みたいな話で、こういうのが好きな人はしっくりくるのではないでしょうか。
実は私が「おとこの口紅」を最初に読んだ時に、似た感覚を受ける作品として星野茂樹(原作)・ほんまりう「R探偵事務所」(1999年)を思い浮かべたのですが、ほんまりう作品は常山プロ作品に通じるところがあるのかもしれません。第4話「聖なる河」は特に印象に残っています。