永井豪による漫画『デビルマン』に登場した飛鳥了もまた、美形悪役として早い段階での特徴が見られる。
主人公、不動明の親友であり宿敵デーモン撲滅の為の協力者だったが、その正体はデーモンを率いる神である大魔神サタンだ。
両性具有という設定と、明に対する執着は退廃的なロマンス要素を見せる。
間久部緑郎の知的美形悪役イメージの発展系であったのが、『MW』(ムウ)の主人公である結城美知夫だ。
ロックよりも冷酷な嗜虐心を持つ結城は人間の裏表の恐ろしさを如実に見せる。
自己破滅型な性格や同性愛にまで踏み込んだ描写等、手塚悪役の中では最も退廃的な耽美性を極めたキャラクターだろう。
間久部緑郎の悪人イメージを継続させ、よりエゴイズム満載なキャラクターとして演じて魅せたのが『アラバスター』でのロック・ホームだ。
己の美貌に耽溺するレイシスト耽美主義者なロックは、自身の顔が傷付いた時に激昂するナルシスト美形キャラの元祖とも言える。
道徳規範から外れた非道なるロックの犯罪行為は、ある種の痛快さをも読者に与える。
唯一心を許した親友への葛藤や対立等、本来の主人公トッペイを差し置いて物語の筋は、如何にロックが世界と敵対して闘って行くかがメインな悪漢漫画となった。
『バンパイヤ』の主人公、トッペイを世界征服の野望の為に利用しようとする悪役として登場したロックは物語の中心的存在だ。
天才的頭脳で人を騙す事にも長けていて、変装術も得意とする。
主に女装が多いのは、自身のルックスからなる美貌を効率的に活用しているからに過ぎない。
アメリカでは比較的最近の悪役表現だが、日本のアニメや漫画ではそう珍しくは無い常套手段だ。
勧善懲悪で悪人の見た目が分かりやすいデフォルメをした『ONE PIECE』でも、たまにこういった観客を騙すタイプの悪役達が登場する。
日本人からしたら、最早このパターンはお馴染みであろう。
スープスとスパイディが仲良くボコり合っていた同年の日本では、水木しげるによる『鬼太郎対悪魔くん』が掲載されていた
千年王国版悪魔くんは鬼太郎を全裸に引ん剥く手前まで追い詰める
悪魔くんもダーティーなキャラだが裏で糸を引いていた、ねずみ男もまた鬼太郎にとって厄介な「身内の中の敵」だ
アメリカンコミックスでは1976年に『スーパーマンVSスパイダーマン』が掲載された
二大出版社のDCとマーベル初の共演タイトルだ
スパイダーマンが操られて一時スーパーマンと戦うが、終盤は互いの宿敵であるレックス・ルーサーとドクター・オクトパスのタッグと闘う
身体スペック差の描写が面白い
人間を守る為の戦いだった筈が、絶望の末に人類を見放してしまう。
自滅していく人間達を余所に明は宿敵サタンとの闘いに囚われていく。
『デビルマン』とはヒーローの資格を失ってしまった男の話だ。