ちばてつや先生は「ユカをよぶ海」でそれまで少女漫画になかった、男の子を平手打ちしたり、舌を出しておどけるヒロインを描いたところスゴい評判を呼んだと度々エッセイとかで書かれてるのだが、見直して、平手打ちはあるけど舌出しシーンが見つからない。雑誌だけだったのだろうか。🌲になります。
ちばてつや「アリンコの歌」読了。土門拳「筑豊のこどもたち」の影響から生れた、貧しい炭鉱町に赴任した教師と子供達の物語。主人公がもう少女でない事もスゴいが、前半の落盤事故のリアリズムが特に圧倒的で、これを少女誌で描けたのは、時代もあるけどやはりちば作品への信頼だったのだと思います。
「島っ子」読了。もう最高でした。ちばてつや少女作品の到達点じゃあないかと思います。
まぁ前半の泥棒話と島医者の娘のその後がなかったこと、超大急ぎのエピローグなど少々気になりますが、そこは脳内補完するとして、ちば作品のキャラ、コマ運び、ドラマといった魅力が詰まりまくってます。傑作。
ちばてつや少女作品、現在6作目「島っ子」を半分まで。貧しい島へ越してきた少女・ミチとその家族の物語で、何となく地味な印象から未読だったんですが、そんな自分を打ちすえたくなるくらい面白いです。まだ半分ですがこれ傑作じゃあないかなぁ。
画像は少女フレンド1964年10号より。先生が全然違う!
また現実のままならない問題を表立って、もしくはさり気なく作品に落とし込み始めたのもこの作品辺りからかなと思います。今作にはアイヌ差別について。
「ユキの太陽」は1963年に描かれた作品で自分の持ってる単行本は1998年発行版なんですが、目次に添えられた文が少々切ないです。
ちばてつや「ユキの太陽」再読。
すでに名人芸の完成度の上、今作より背景にリアリズムが入ってきた感があり特に養護施設の描写などグッときます。しかし主人公・ユキの無鉄砲さたるやもう鉄平じゃあないかという程で、同時期に描いてた「ちかいの魔球」の主人公の品行方正さとの差が物凄いです(続)
ここのところ、ちばてつや初期作を「ママのバイオリン」「ユカを呼ぶ海」「リナ」「1•2•3と4•5•ロク」と順に読んでいるのだが、それらに登場する弟・ちばあきおキャラ。徐々に目立つようになってきて「1•2•3と」では悪戯グループの一員まで昇格。大部屋俳優の出世を見てるようで何か嬉しいです。
ちば作品「1•2•3と4•5•ロク」再読。前作「リナ」で顕著になった日常生活や所作の漫画表現がより深化していて、まるでそこを描くために作り出したような作品だなぁと。もしや凄い実験作では…という目線で読むと更に面白かったです。メインの話もいいですが軽い掛け合いや所作に本とグッときます。
ちばてつや「リナ」。昔買って置きっぱなしだったんですが今回初めて読了、超良かったです。裕福な家族が父の失踪から長屋暮らしへ…といった悲劇的展開だが、バイタリティ溢れる主人公とその家族、友達との日常描写や会話が実に細やかで読んでいて最高に楽しい。ちばてつや世界がもう完成している。
ちば作品再読「ユカをよぶ海」。
耐えるヒロインが主流だった時代に男の子を平手打ちしたりするユカがどれだけ画期的だったか、全て把握できるわけではないが前半に出るこのセリフなど今読んでもハッとします。あと脇役たちの個性の充実やコマ運びなど後のちばポイントがはっきりと出てきます。名作。
ちば話の流れで、初の長編作「ママのバイオリン」を久しぶりに読了。ヒロインに次から次へ不幸が降りかかる当時の少女モノの定番展開の中、後の作品にも繋がる丁寧な心情描写やコマ運びもあって興味深いです。しかしそんな事より物語の最後、やたらとジュースをすすめてくるマリアンヌ嬢が可愛いです。
少年サンデー 1969年9号より。
腕時計プレゼント企画を盛り上げる当時の連載キャラクターたち。総じて裕福なキャラはいないが、中でも河原三平は一番腕時計と縁がなさそうだなぁ。