⑦そして、最終的にはレイヴンたちが破壊工作を鎮圧するんですが、実は彼らは遠い星系から来た異星人ではなく、この宇宙全体を俯瞰することのできる高次元の存在で、人類を正しく進化させるために監視していたというオチになっていました。
⑧「宇宙の監視」を読んでみた感想としては、ミュータントたちの超能力であるとか、一つの能力しか使えないといった設定や、普通の人類と超能力者たちとの戦いから始まるという導入部については、横山先生も参考にしているなーという感じでしたが、
⑨カナーリの牢獄とか、強力な超能力者たちとの間で繰り広げられる死闘とか、金星(V-7では火星)に到着した後のストーリーは全くの別物でしたし、何より「宇宙の監視」においては催眠術や精神感応で敵をだますといった使い方がほとんどで、
⑩直接相手を倒すという戦闘シーンは一切無く、主人公レイヴンも敵の心を読み、言葉で説得するというタイプの冷静な男で、結局誰も殺さずに終わりました。またメインテーマについても、「V-7」が超能力者たちの人類からの独立だったのに対して、
⑪「宇宙の監視」は、高次元の存在が人類の進化を見守り、導いていくというもので、全く別の物語と言ってもいいんじゃないかと・・・。まあ、少なくとも、「V-7は、宇宙の監視のパクリ」と言われる筋合いは無いんじゃないかと思いました。(^_^)
⑫ちなみに、「宇宙の監視」では主人公レイヴンのパートナーとして寄り添う女性が登場して来ますが、「V-7」ではその役割の一部を主人公の姉に変えてしまったあたりに、横山先生の嗜好が現れているような気がしますね。(笑)
②この本で紹介していた横山作品は、昭和33年の月刊「少女」に連載された「紅こうもり」で、あらすじの紹介とともに、「この作品が少女まんがに吸血鬼の登場した最初の作品かもしれない」とのコメントが付いていました。
③そして、ガイドブックの巻末に付いていた吸血鬼少女漫画年表でも、トップバッターとしてこの作品が載っており、その後に石森章太郎氏の「きりとばらとほしと」(昭和37年「りぼん」)などが続いていました。
⑦ちなみに「墓場からのぞく目」の内容はというと、ある少女が黒い影のような吸血鬼に何度も血を吸われるうちに同じ吸血鬼へと変貌し、村の子どもたちをさらっては血を吸うようになったことから、
⑧村を訪れていた少女の友人や吸血鬼の研究者の手によって、十字架と太陽の光とクイによって滅され、本体の黒い影のような吸血鬼の方も棺桶の中で寝ているところを襲撃され、胸にクイを打たれて消滅するという物語になっていました。
⑨この「墓場からのぞく目」と「紅こうもり」は、近年発行された講談社の横山光輝初期作品集6「闇におどる猫」の中に復刻収録されていて、比較的安価に入手が可能ですので、興味が湧きましたらぜひ手にとってみてください。
⑪横山先生はこの小説をさっそく読んで、そのダークホラーでミステリーな内容に触発されて、翌年「墓場からのぞく目」を創作したんじゃないかと思っています。