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「関所を越して休んでいたら、後から商人が来た。
『今、私が関所を通りましたが、関所でお前様の噂をしておりました。さっき通った侍は飛脚でも箱根の者でもなし、何だろうと』
と言うから、おれは、
『分からぬはずだわ。おれは殿様だから』
と言ってやった。」
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「『通行手形を見せなされ』
と言われたから、おれはこう答えた。
『ご覧の通り、江戸を歩く服装のままだから、手形の用意もありませぬ。稽古先でふと思い付いて、上方へ修行に向かう途中です。雪駄も履いたまま、旅支度もせずに来たのです。どうぞお通しくだされますよう』」
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「藤沢に泊まって、朝七つに出立した。小田原へ行って、一度目の家出の時に世話になった喜平次の家を訪ねた。喜平も物乞いが侍に化けて来たものだから、初めは怪しんでいたが、喜平の家を出た亀だと言ったら、ようやく思い出したようで、いろいろ酒なぞ振る舞ってくれた。」
文政五年(西暦1822)、勝小吉21歳。借金を重ねて無一文になり、再び江戸から行方をくらまします。
箱根関所に差しかかる小吉ですが、通行手形を持ってない。どうする…?
マンガ『夢酔独言』四十七話(1/4)
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マンガ『夢酔独言』四十六話(1/4)
勝小吉21歳頃、妻・信とのお話。※1コマ目以外全編フィクションです。
「馬鹿ばかりしていたら、懐事情が悪くなってきて、借金が増えるばかり。仕方がないから、無茶な借金を重ねていたが、二十一の年には、一文もなくなった。」
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テステス、要約『夢酔独言』3ページ目途中。
崖から落ちて漁師して2年間寝込んで吉原行って無一文になる小吉。
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「それで、一軒の旗本の所へ、三四人もサウいふ出入の小旗本がある事がある。己は、十三から半年ほど、叔父の所へ厄介になつて居たから、よくそれを知つて居る。」
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「…おれは毎日払暁に起きて、剣術の稽古に行く前に、徳利搗といふことをやつたよ。これは、徳利の中へ玄米五合ばかりを入れて、その口へはいるほどに削つた樫の棒で、こつこつ搗くのサ。おれは毎朝掌に豆の出来るほど搗いてこれを篩でおろし、自ら炊いて父母に供したことかあるヨ。」
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「ワシの家のグルリなどは、みなバクチばかりして居たが、ヲヤジが嫌ひだつたせゐか、ワシは幼い時から、ごくキライだつた。」
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