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「『酒はいかが』
と虎之助に聞いたら、
『飲みませぬ』
と言う。
『美味い物は』
と尋ねたら、
『それは食べまする』
と答えた。そこで、
『そんなら、ご苦労ながら一緒に浅草辺りまでおいで』
と言って、虎之助が断わるのを、無理に引っ張りだした。」
島田虎之助さんが道場を開いていたのは、浅草新堀の松平内記さんの地面だそうです(古い雑誌の情報なので確信がない)。
#夢酔独言
勝小吉37歳春。剣術使いの島田虎之助に、吉原を案内します。
マンガ『夢酔独言』百七話(1/4)
#漫画が読めるハッシュタグ
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「『煙草は吸うか』
と聞いたら、虎之助は、
『吸いますが、今は修行中なのでやめております』
と答えた。
『それは度量が小さいというものだ。煙草を吸ったって修行はできるだろう。世間ではお前さんは豪傑と噂だから、近付きにきたのさ。そんな狭量では、江戸で修行はできないぜ』」
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「そのうち日が落ちて、あちこちで提灯が灯り始めた。桜の季節だから、風景もひときわ見事だ。
揚屋の太夫が道中をするから、二階から虎に見せた。虎は、
『まったく、別世界のようだ』
と、隅々まで見ていた。」
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※このへんはフィクション演出とゆうか、原作にないくだりです。
息子麟太郎の運命の人・徳川慶喜さんの誕生です(今改めて調べたら、誕生は前の年でした)。この後別に出てこないけども…。
勝小吉36歳頃。本所入江町の地主が、大川丈助というまかない用人を雇おうとします。反対する地主の縁者達に頼まれた小吉は、丈助を雇わないよう、地主に異見をいいますが…。
マンガ『夢酔独言』百八話(1/4)
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「おれが奥方を世話してもらった時は、知行所に相談して、岡野の暮らしは百姓のまかないにして、何も困ることがないようにした。〈中略〉たちまち元の通りになってきたから、孫一郎の伯父の仙之助の薦めで、大川丈助というまかない用人を雇うことになった。」
#はやおき訳
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「知行所の者は丈助を雇うことを承知せず、おれに頼んで止めてくれろと言う。舅の権之助も頼むから、孫一郎にいろいろ異見を言った。
すると挙句の果てにおれを地面から追い出そうとから、ケンカをして、謝らして済ませてやった。」
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「大川丈助は仙之助に金五両貸して取り入って、とうとう岡野の用人に収まった。」
勝小吉36歳頃。賄い用人になった大川丈助は、立替金の返済を岡野家に求めます。返済できない岡野家が対応に困っていると、丈助はご老中に直訴します。
マンガ『夢酔独言』百九話(1/4)
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「それからいろいろ立替金がかさんで、岡野家一同が困ると、またまた仙之助が悪巧みをして、丈助を出し抜こうとした。そこで丈助が一年分の支払いを計算すると、立替金は三百三十九両にもなったということだった。」
#はやおき訳